リツキサン、CD20陽性の慢性リンパ性白血病の適応追加で承認申請

2018/08/09

文:がん+編集部

 リツキサンについて、CD20陽性の慢性リンパ性白血病の効能・効果追加の承認申請が行われました。慢性リンパ性白血病の新しい治療薬として期待されます。

高齢者の患者さんが多く、再発・進行を繰り返す慢性リンパ性白血病

 全薬工業株式会社と中外製薬株式会社は8月3日、リツキシマブ(製品名:リツキサン)について、CD20陽性の慢性リンパ性白血病の効能・効果追加の承認申請を行ったことを発表しました。

 全薬工業は、CD20陽性の慢性リンパ性白血病に対するリツキシマブの投与について、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議※1」での検討結果を受けた厚生労働省からの開発要請に基づき、承認申請の準備を行ってきました。なお、日本での慢性リンパ性白血病の年間発生患者数は約400人とされていることから、2018年3月20日にCD20陽性の慢性リンパ性白血病を予定とする効能・効果として、希少疾病用医薬品の指定を受けています。

 慢性リンパ性白血病は、白血球の一種であるリンパ球のうち成熟した小型のBリンパ球(B細胞)が悪性化し、がん化した細胞が無制限に増殖することで発症する血液がんです。慢性リンパ性白血病は、既存治療での治癒は難しいとされ、再発・進行を繰り返すことの多い疾患です。高齢者の患者さんが多いことが特徴で、発症年齢は50歳以降で多く、30歳未満ではほとんどみられません。男女比は、女性より男性に多く1.5~2倍程度とされています。

 B細胞の多くは、表面に「CD20」というタンパク質が発現しており、がん化したB細胞が活発に活動していると、このCD20が多く出現しています。リツキシマブは、CD20に結合することでその働きを抑制し、がん化したB細胞の増殖を抑制する効果がある分子標的薬です。

※1 海外では使用が承認されていて国内では承認されていない医薬品や適応について、製薬企業による未承認薬・適応外薬の開発を促進することを目的としています。厚生労働省が主催し、医学的・薬学的な学識経験者で構成されています。