転移性脳腫瘍の新たな標準治療へ、腫瘍摘出術後の定位放射線照射療法

文:がん+編集部

 転移性脳腫瘍の新たな標準治療として、腫瘍摘出後の定位放射線照射療法の有効性が確認されました。これまでの標準治療と同じくらいの効果がありながら、副作用の発生が低下したそうです。

遅発性の認知機能発生割合が16.4%から7.7%に低下

 国立がん研究センターは8月28日、転移性脳腫瘍の新たな標準治療として、腫瘍摘出術後の定位放射線照射療法の有効性を確認したと発表しました。

 がん患者さんの約10%に生じると報告されている脳転移。転移性脳腫瘍は、がんによる死亡の主な原因のひとつで、脳の圧迫により神経障害が発生するなど、がん患者さんの生活の質(QOL)を著しく低下させる原因にもなります。

 現在、転移性脳腫瘍の標準治療としては、他臓器から脳に転移した腫瘍を摘出した術後に、脳全体への放射線照射(全脳照射療法)があります。国立がん研究センター中央病院が中央支援機構を担い支援する日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の脳腫瘍グループでは、この標準治療にかわり、手術で残存した腫瘍や再発した腫瘍のみに放射線を照射する定位放射線照射療法の効果と安全性を評価する臨床試験COG0504試験を実施しました。

放射線治療

画像はリリースより

 試験の結果、腫瘍摘出後に全脳照射療法を行うこれまでの標準治療と、同等の生存期間を保ちながら、放射線照射の副作用として発生する治療開始後91日以降の遅発性の認知機能の発生割合が16.4%から7.7%に低下するなど、全脳照射による有害事象が低減することが確認されたそうです。

 今回の結果より、研究グループは「転移性脳腫瘍の個数が1から4個で手術が必要な場合には、腫瘍摘出後の定位放射線照射療法が、放射線照射による副作用を低減できる新たな標準治療としてその有効性を確認できました」と述べています。