乳がん、3つの遺伝子変異が予後に悪影響を及ぼす可能性

2018/09/18

文:がん+編集部

 エストロゲン受容体(ER)陽性の乳がんの予後不良の個人差は、3つの遺伝子と関連している可能性があるという論文が発表されました。今後、治療法の開発が期待されます。

エストロゲン受容体陽性乳がんの予後の個人差に遺伝子変異が関与

 ネイチャーは9月5日、エストロゲン受容体陽性(ER)乳がんの3つのまれな遺伝子変異が予後に悪影響を及ぼすことを報告する論文を掲載することを発表しました。

 Matthew Ellisらの研究グループは、ホルモン受容体陽性乳がん患者さんの一定期間追跡観察する3つのコホート研究に由来する、閉経前(328人)と閉経後(625人)の乳がん患者さんのDNAの保管資料を調べた結果、エストロゲン受容体(ER)陽性の乳がんの予後不良が、NF1遺伝子、PIK3R1遺伝子、DDR1遺伝子の3つの遺伝子と関連していることを明らかにしたそうです。

 ER陽性乳がんの予後は個人差が非常に大きく、発生頻度の低い遺伝子変異と予後の関連を解明するのは難しく、まれに見られる遺伝子変異が予後にどの程度の影響を及ぼすのかはよくわかっていませんでした。

 今回の研究では、遺伝的データだけではなく、長期的な臨床追跡調査データもあわせて分析することで、発生頻度の低い反復変異が予後に影響を及ぼすことが明らかになりました。ER陽性乳がんの予後に非常に大きな個人差があることを説明する上で役立つ可能性があるとしています。