末梢性T細胞リンパ腫に対するアドセトリスの治験 標準治療より優れた結果に

2018/10/09

文:がん+編集部

 悪性リンパ腫の1つ非ホジキンリンパ腫に分類される末梢性T細胞リンパ腫の新たな併用療法の可能性が治験で確認されました。新薬としての早期の承認が期待されます。

数十年変化のなかった末梢性T細胞リンパ腫の標準治療が変わる可能性

  武田薬品工業株式会社シアトルジェネティクス社は10月2日、悪性リンパ腫治療薬ブレンツキシマブ ベドチン(製品名:アドセトリス)標準治療を比較した第3相試験 ECHELON-2試験の結果を発表しました。本試験の結果、現在の標準治療であるCHOP療法「シクロホスファミドドキソルビシンビンクリスチンプレドニゾン併用」と比較してブレンツキシマブ ベドチンが無増悪生存期間※1を改善したそうです。

 ECHELON-2試験は、北米、欧州、アジアから450人の患者さんが登録された無作為化二重盲検プラセボ対照臨床第3相試験です。CD30発現の末梢性T細胞リンパ腫の1次治療として、ブレンツキシマブ ベドチンとシクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾンを併用したグループとCHOP療法のグループを比較した結果、無増悪生存期間を改善するとともに全生存期間※2でも良好な結果が得られたといいます。

 武田薬品工業のJesús Gomez-Navarro氏は「ECHELON-2で得られた良好な結果は、末梢性T細胞リンパ腫の一次治療を大きく改善する重要な一歩となります。末梢性T細胞リンパ腫における標準治療は数十年変化がなく、患者さんにとってアンメットメディカルニーズが残っている領域です。今回の結果は、管理可能な安全性プロファイルとともに、主要評価項目である無増悪生存期間および全生存期間を含むすべての副次評価項目で顕著な改善がありました」とコメントしています。

※1 奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※2 患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。