がん治療による口内炎への新しい疼痛緩和薬、国がんとマルホがライセンス・共同研究契約を締結
2018/10/04
文:がん+編集部
がん治療による口内炎に対する新しい疼痛緩和薬について、国立がん研究センターとマルホ株式会社がライセンス契約と共同研究契約を締結しました。この新しい疼痛緩和薬は、味覚や食感を維持しながら口内炎の痛みを抑える効果が期待されています。
がん治療中の口内炎の痛みは生活の基本的な行為を制限する原因に
国立がん研究センターとマルホ株式会社は10月1日、がん治療による口内炎に対する新しい疼痛緩和薬について、全世界を対象とした独占的な開発・製造・販売権に関するライセンス契約と共同研究契約を締結したと発表しました。
抗がん剤や放射線などによるがん治療中には、口内炎などのさまざまな口のトラブルが起こります。がん治療による難治性の口内炎の痛みは、食べる・飲む・話すといった生活の基本的な行為を制限する原因となります。
がん治療中の口内炎に悩む患者さんには、痛みを和らげるために、リドカインのうがいなどが用いられます。リドカインは、痛みを和らげる効果を示す一方で、口腔内の全ての感覚神経を遮断します。そのため、痛みの知覚だけでなく、味覚・食感の知覚も抑えられ、患者さんのQOLに影響を及ぼします。このことから、新たな疼痛緩和薬が求められています。
今回の契約に関わる新しい疼痛緩和薬は、口内炎の痛みを抑えながら、味覚や食感を維持し、薬の効果が長く続くことが、臨床試験の結果から期待されており、がん患者さんのQOL向上が期待されます。