パージェタ、適応追加で効能・効果が「HER2陽性の乳がん」に

2018/10/15

文:がん+編集部

 パージェタの適応追加が承認されました。効能・効果が「HER2陽性の乳がん」となり、HER2陽性の早期乳がんに対する新たな治療選択肢として期待されます。

がん細胞を増殖させるHER2の働きを阻害するパージェタ

 中外製薬株式会社は10月10日、分子標的薬ペルツズマブ(製品名:パージェタ)について、「HER2陽性の乳がんにおける術前・術後薬物療法」に対する効能・効果追加の承認を取得したことを発表しました。これまで、ペルツズマブの効能・効果は「HER2陽性の手術不能または再発乳がん」でしたが、今回の追加承認により「HER2陽性の乳がん」となりました。

 今回の承認は、第3相臨床試験APHINITY試験等の結果に基づくものです。APHINITY試験では、根治手術を受けた早期乳がん患者さん4,805名を対象に、ペルツズマブ、トラスツズマブ(製品名:ハーセプチン)と化学療法の併用と、トラスツズマブと化学療法の併用における術後薬物療法について検討しました。試験の結果、ペルツズマブ併用群で再発または死亡リスクが19%減少したそうです。安全性については、これまでに報告されたものと同様の結果でした。

 HER2陽性乳がんの細胞表面にはHER2というタンパク質が多く存在し、がん細胞を増殖させるシグナルを送っています。ペルツズマブは、HER2に結合してその働きを阻害する薬剤です。同剤のHER2陽性乳がんに対する術前薬物療法は、米国では2013年9月、欧州では2015年7月に承認されています。また、術後薬物療法についても、米国では2017年12月、欧州では2018年5月に承認されていました。

 中外製薬の上席執行役員プロジェクト・ライフサイクルマネジメント共同ユニット長である伊東康氏は、「早期乳がんに対する治療の目標は、治癒を目指すことです。これまでの治療の進歩により改善してきましたが、残念ながら再発する患者さんもいらっしゃいます。このたびの承認により、HER2陽性の早期乳がんに対する治療選択肢としてご提供することで、パージェタが乳がん治療の進歩にさらなる貢献を果たせることを願っています」とコメントしています。