キザルチニブ、FLT3-ITD変異がある再発または難治性の急性骨髄性白血病の治療薬として承認申請
2018/10/19
文:がん+編集部
FLT3-ITD変異がある再発または難治性の急性骨髄性白血病(AML)の治療薬として、キザルチニブの承認申請が行われました。希少疾病用医薬品にも指定されており、承認が期待されます。
再発率の高いFLT3-ITD変異がある急性骨髄性白血病
第一三共株式会社は10月17日、キザルチニブについて、FLT3-ITD変異がある再発または難治性の急性骨髄性白血病(AML)の治療薬として国内で承認申請したことを発表しました。
今回の申請は、FLT3-ITD変異がある再発または難治性のAML患者さんを対象とした第3相臨床試験「QuANTUM-R試験」と国内第2相臨床試験の結果に基づくものです。QuANTUM-R試験の結果、キザルチニブは既存の化学療法剤と比較して、全生存期間(OS)※1を有意に延長しました。安全性でも新たな懸念は認められなかったそうです。
AMLは、骨髄で白血病細胞が異常に増殖することで、正常な血液細胞の産出が阻害される血液がんです。FLT3-ITD変異はAMLの中で比較的多くみられる遺伝子変異で、AML患者さんの約25%にあると考えられています。FLT3-ITD変異があるAML患者さんは、変異のない患者さんと比べて再発率が高く、生存期間が短いとされています。
キザルチニブは、がん細胞の増殖に関わる受容体チロシンキナーゼのFLT3を阻害するAML治療薬です。2018年9月には、FLT3遺伝子変異があるAML治療を対象に、厚生労働省より希少疾病用医薬品指定を受けました。希少疾病用医薬品指定は、患者数が日本国内で5万人未満であること、医療上にその必要性が高いものなどの条件を満たすものが指定される制度です。希少疾病用医薬品に指定された医薬品は、開発が支援・促進されます。
※1 患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。