腎臓がんに対するキイトルーダとインライタ併用療法の治験、全生存期間などを改善

2018/11/07

文:がん+編集部

 進行性・転移性の腎臓がんに対する治験で、免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)アキシチニブ(製品名:インライタ)の併用療法が全生存期間と無増悪生存期間の両方で目標を達成したと発表されました。

PD-L1の発現にかかわらず、全生存期間、無増悪生存期間、奏効率を改善

  米メルク社は10月18日、第3相試験KEYNOTE-426の結果を発表しました。

 KEYNOTE-426試験は、腎臓がんでもっとも多いタイプの淡明細胞型で、進行性または転移性の腎細胞がんを対象としたものです。免疫チェックポイント阻害薬のペムブロリズマブとアキシチニブ併用療法とスニチニブ(製品名:スーテント)単独療法を比較して、全生存期間※1と無増悪生存期間※2を評価したものです。

 中間解析の結果、2つの主要評価項目である全生存期間と無増悪生存期間の両方で目標を達成しました。また、副次的評価項目である奏効率※3も達成し、併用療法は単独療法と比較して有意な改善が認められたそうです。全生存期間、無増悪生存期間、奏効率いずれの結果もPD-L1の発現にかかわらず全リスク集団で一貫していました。安全性も、これまで報告されている試験の結果とおおむね一致していました。

 同社研究開発部門責任者のRoger M. Perlmutter博士は「この第3相試験では、キイトルーダとチロシンキナーゼ阻害剤のインライタの併用療法により、全生存期間、無増悪生存期間、客観的奏効率において、有意で臨床的に意味のある改善が認められました。進行性腎細胞がんの初回治療において、抗PD-1抗体の併用療法が全生存期間と無増悪生存期間の両方の主要評価項目を達成したのは初めてです。進行性腎細胞がんと診断された患者さんの5年生存率は10パーセント未満で、より優れた治療に対する大きなニーズが存在しています。この重要な試験に関わられている治験責任医師や患者さんに心から感謝致します。このデータを近い将来、各国の規制当局に提出します」とコメントしています。

 同社は、KEYNOTE-426試験の結果に基づき各国で承認申請を行う予定としています。

KEYNOTE-426試験

対象:腎細胞がん
条件:進行性または転移性
登録数:840
被験薬:ペムブロリズマブ、アキシチニブ
対照薬:スニチニブ
実験群:ペムブロリズマブ+アキシチニブ併用療法
対照群:スニチニブ単独療法
主要評価項目:全生存期間、無増悪生存期間
副次的評価項目:奏効率、疾患コントロール率、奏功期間ほか

※1:患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。
※2:奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※3:治療によって、がんが消失または30%以上小さくなった患者さんの割合のことです。完全奏効(CR)(腫瘍が完全に消失)と、部分奏効(PR)(腫瘍が30%以上小さくなる)を足して、治療患者の総数で割ったものです。