【欧州】アドセトリスとAVD併用療法、CD30陽性ホジキンリンパ腫に対する数十年ぶりの新規治療に

2018/12/25

文:がん+編集部

  悪性リンパ腫治療薬ブレンツキシマブ ベドチン(製品名:アドセトリス)とAVDの併用療法について、欧州医薬品庁は未治療でステージ4のCD30陽性ホジキンリンパ腫に対する効能追加の承認を推奨するとの見解を発表しました。

ECHELON-1試験では修正無増悪生存期間を有意に延長

  武田薬品工業株式会社は12月17日、ブレンツキシマブ ベドチンが未治療でステージ4のCD30陽性ホジキンリンパ腫に対する新規治療レジメンとして、欧州医薬品庁から承認を推奨する見解が示されたと発表しました。承認されれば、対象患者さんにとっては数十年ぶりの新規治療となります。

 今回の肯定的見解は、未治療のホジキンリンパ腫成人患者さんの治療法としてアドセトリス+AVD併用療法とABVD療法を比較するためにデザインされた臨床第3相試験 ECHELON-1の結果に基づいています。同試験では、ブレンツキシマブ ベドチンとAVD(アドリアマイシンビンブラスチンダカルバジン)併用療法とABVD(ドキソルビシンブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)療法と比較して、修正無増悪生存期間※1の統計学的に有意な延長が認められました。ステージ4のホジキンリンパ腫患者さんの病勢進行、死亡、またはその後の抗がん剤治療の必要性のリスクの29%相当の低下だそうです。

 ブレンツキシマブ ベドチンは、がん細胞で発現しているCD30に結合するモノクローナル抗体であるブレンツキシマブと、微小管阻害作用をもつモノメチルアウリスタチンE(MMAE)を結合させた抗体薬物複合体です。ブレンツキシマブが、CD30抗原と結合し細胞内に取り込まれ、ブレンツキシマブに結合されているMMAEにより微小管阻害作用を起こすことで細胞増殖を抑制します。

 カタロニア・オンコロジー研究所、デュラン・レイニンズ病院のAnna Sureda医師は、「IV期と診断された未治療のホジキンリンパ腫の患者さんの多くで、現在の治療では病勢進行がみられることから、患者さんに真のアンメットニーズがあることは明らかです。ECHELON-1試験では、未治療のIV期ホジキンリンパ腫患者さんにおいてアドセトリスとAVDの併用療法により、病勢進行、死亡、またはその後の抗がん治療の必要性のリスクが標準治療であるABVD療法と比較して29%低下しました。承認されれば、アドセトリスは欧州において、未治療のIV期ホジキンリンパ腫の患者さんの新たな治療オプションとなる可能性があります」とコメントしています。

ECHELON-1試験

対象:ホジキンリンパ腫
条件:ステージ3または4の未治療の患者
フェーズ:第3相臨床試験
試験デザイン:ランダム化、パラレル割当、オープンラベル
登録数:1334人
試験群:ブレンツキシマブ ベドチン+AVD併用療法
対照群:ABVD療法
主要評価項目:修正無増悪生存期間
副次的評価項目:全生存率※2、完全寛解率、無病生存期間ほか

※1:奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※2:患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。