バベンチオ、卵巣がんに対する治験で有効性を示せず

2018/12/27

文:がん+編集部

 免疫チェックポイント阻害薬 アベルマブ(製品名:バベンチオ)卵巣がんを対象とした治験の結果が発表されました。全生存期間※1、無増悪生存期間※2の有意な延長は認められなかったそうです。

アベルマブ+化学療法併用では有効性シグナルは認められる

  米ファイザー社独メルク社は11月19日、卵巣がんを対象とした第3相試験JAVELIN Ovarian 200の結果を発表しました。主要評価項目である全生存期間と無増悪生存期間ともに有意な延長が認められませんでした。

 JAVELIN Ovarian 200試験は、白金製剤抵抗性または不応性の卵巣がん患者さんを対象としています。アベルマブ単剤またはアベルマブと化学療法(ペグ化リポソーマルドキソルビシン)の併用療法をペグ化リポソーマルドキソルビシン単剤と比較した試験です。アベルマブと化学療法併用群と化学療法単剤との比較では、有効性のシグナルは認められていたため、さらなる解析の妥当性は確認されたそうで、今後もデータの解析を進め、詳細な結果も今後発表される予定です。なお、同試験での未知の副作用は報告されていません。

 パリ中央大学病院シテ・オテルデューの婦人科がん・臨床研究部門責任者のEric Pujade-Lauraine医学博士は「白金製剤抵抗性または不応性の卵巣がんに対する効果的な治療法は、再発卵巣がんにおける最大のアンメット・ニーズです。白金製剤抵抗性または不応性卵巣がん患者さんの平均余命が1年未満であることからも分かるとおり、現在の治療選択肢は限られている上、大部分の患者さんにとってはわずかな延命効果しか期待できません。私は研究者として、また臨床医として、進行卵巣がんの予後改善への取り組みがいかに重要であるかを認識しており、アベルマブが白金製剤感受性の患者さんやより早期の治療ラインにおいても再発を遅らせる役割を果たす可能性を探る、さらなる試験結果に期待しています」とコメントしています。

JAVELIN Ovarian 200試験

対象:上皮卵巣がん、卵管がん、腹膜がん
条件:白金製剤抵抗性または不応性の卵巣がん
フェーズ:第3相臨床試験
試験デザイン:ランダム化、パラレル割当、オープンラベル
登録数:566人
試験群1:アベルマブ+ペグ化リポソーマルドキソルビシン併用
試験群2:アベルマブ単独
対照群:ペグ化リポソーマルドキソルビシン単独
主要評価項目:全生存期間、無増悪生存期間
副次的評価項目:奏効率、奏功期間ほか

※1:患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。
※2:奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。