イミフィンジ、前治療のないステージ4転移性非小細胞肺がんに対して臨床活性を実証
2019/01/07
文:がん+編集部
前治療歴のないステージ4転移性非小細胞肺がんを対象とした治験で、デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)単剤療法が、がん細胞の25%以上に PD-L1が発現している患者さんに対して臨床活性があることが実証されました。しかし全生存期間※1は、統計学的に有意差は到達していませんでした。
腫瘍遺伝子変異量高値と免疫療法による全生存期間との関連性を示す
英アストラゼネカ社は12月13日、前治療歴のないステージ4転移性非小細胞肺がんを対象とした第3相MYSTIC試験の全生存期間と無増悪生存期間※2の結果を発表しました。
MYSTIC試験は、 EGFRとALK野生型の進行・転移性のステージ4非小細胞肺がんの1次治療として、デュルバルマブ単剤療法、デュルバルマブとトレメリムマブ併用療法を、白金製剤による標準化学療法と比較した多施設共同無作為化非盲検国際第3相試験です。
デュルバルマブ単剤療法は、がん細胞の25%以上にPD-L1が発現している患者さんに対して臨床活性があることが実証されましたが、統計学的に有意差は未到達だったそうです。2年時点での生存割合は、デュルバルマブ単剤療法で38.3%、標準化学療法で22.7%でした。また、標準化学療法群の患者さんのうち39.5%は、化学療法後に免疫療法を受けていたにもかかわらず、この差異が認められました。デュルバルマブとトレメリムマブの併用療法は、無増悪生存期間および全生存期間のどちらの主要評価項目も達成しませんでした。
血液中の腫瘍遺伝子変異量が高い患者さんでは、デュルバルマブ単剤療法、トレメリムマブ併用療法ともに全生存期間の延長と関連していることが示され、併用療法では標準化学療法に比べて死亡リスクを38%低減しました。
アストラゼネカのグローバル医薬品開発部門がん免疫治療領域の責任者であるHesham Abdullah氏は「PD-L1および腫瘍遺伝子変異量両方の役割を完全に解明し、当社のがん免疫治療薬によってベネフィットが得られる可能性のある患者さんの選択に役立てるため、引き続き熱意をもってサイエンスを追求していきます。当社は前治療歴のないステージ4の非小細胞肺がん患者さんにおいて、イミフィンジ単剤療法が抗PD-1クラスの薬剤と一貫した活性が見られることは有望であると考えています。本探索的解析で認められた血中腫瘍遺伝子変異量高値と免疫療法に対する反応との明らかな関連性は更なる検討を行うに値することが分かりました」とコメントしています。
MYSTIC試験
対象:進行・転移性のステージ4非小細胞肺がん
条件:EGFRとALK野生型で前治療がない非小細胞肺がん
フェーズ:第3相臨床試験
試験デザイン:ランダム化、パラレル割当、オープンラベル
登録数:1118人
試験群1:デュルバルマブ単剤
試験群2:デュルバルマブ+トレメリムマブ併用
対照群:白金製剤ベースの標準化学療法
主要評価項目:無増悪生存期間、全生存期間
副次的評価項目:客観的奏効率※3ほか
※1:患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。
※2:奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※3:治療によって、がんが消失または30%以上小さくなった患者さんの割合のことです。完全奏効(CR)(腫瘍が完全に消失)と、部分奏効(PR)(腫瘍が30%以上小さくなる)を足して、治療患者の総数で割ったものです。