オプジーボ+ヤーボイ併用療法、前立腺がんの治験で有効性を示す
2019/02/26
文:がん+編集部
治療歴がある転移性去勢抵抗性前立腺がんの治験で、ニボルマブ(製品名:オプジーボ)とイピリムマブ(製品名:ヤーボイ)併用療法が奏功を示しました。
腫瘍遺伝子変異量が高レベル、相同組換え修復異常の患者でより高い奏効
小野薬品工業株式会社は2月15日、転移性去勢抵抗性前立腺がん患者に対する、ニボルマブとイピリムマブ併用療法を評価したChecMate-650試験の中間解析を発表しました。ニボルマブとイピリムマブ併用療法が奏功を示したそうです。
ChecMate-650試験は、治療歴がある転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さん90人を対象とした2つのコホートで構成された第2相臨床試験です。コホート1は、化学療法による治療歴がなく、第2世代のホルモン療法後に病勢進行した無症候性または症状がほとんどない患者さんで構成され、コホート2は、タキサン系抗がん剤による化学療法後に病勢進行した患者さんで構成されています。両コホートともにニボルマブ1mg/kgとイピリムマブ3mg/kgを計4回投与後、ニボルマブ480mgが4週間間隔で投与されました。その結果、コホート1の奏効率※1は25%、コホート2の奏効率は10%だったそうです。両コホートともに、腫瘍遺伝子変異量が高い患者さんや、相同組換え修復異常の患者さんなど特定のサブグループでより高い奏効率が示されました。
安全性に関しては、これまで報告されているものと一貫しており、グレード3~5の有害事象は、コホート1で42%、コホート2では53%で認められました。
米テキサス大学MDアンダーソンがんセンター泌尿生殖器腫瘍内科、免疫療法科のPadmanee Shama教授は「ChecMate-650試験の結果は、腫瘍浸潤リンパ球が少ないcold tumorと考えられている前立腺がんの治療法として、オプジーボとヤーボイの併用による免疫チェックポイント療法の開発を進めるための確固たる根拠となります。今回の臨床試験の結果は勇気づけられるものであり、さらに大規模なコホートで併用療法を検討する基盤となります」とコメントしています。
ChecMate-650試験
対象:転移性去勢抵抗性前立腺がん
条件:化学療法による治療歴がなく、第2世代のホルモン療法後に病勢進行した無症候性または症状がほとんどない患者、タキサン系抗がん剤による化学療法後に病勢進行した患者
フェーズ:第2相臨床試験
試験デザイン:パラレル、オープンラベル
登録数:90人
試験群:ニボルマブ+イピリムマブ併用療法
コホート1:化学療法による治療歴がなく、第2世代のホルモン療法後に病勢進行した無症候性または症状がほとんどない患者
コホート2:タキサン系抗がん剤による化学療法後に病勢進行した患者
主要評価項目:奏効率、X線解析による無増悪生存期間※2
副次的評価項目:レントゲン/臨床無増悪生存期間、全生存期間※3ほか
※1:治療によって、がんが消失または30%以上小さくなった患者さんの割合のことです。完全奏効(CR)(腫瘍が完全に消失)と、部分奏効(PR)(腫瘍が30%以上小さくなる)を足して、治療患者の総数で割ったものです。
※2:奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※3:患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。