前立腺がん治験、次世代がん免疫療法薬AZD4635が免疫抑制を阻害

文:がん+編集部

 新規アデノシン2A受容体拮抗薬AZD4635の単剤もしくは、デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)と併用した治験で、早期の臨床活性が認められました。

A2AR拮抗阻害で、T細胞のがん細胞殺傷能力の抑制解除

 そーせいグループは3月25日に、次世代がん免疫療法のAZD4635に関する、新たな臨床および前臨床試験の早期段階における主要データを米国がん学会の年次総会で報告すると発表しました。今回報告されるデータは進行前立腺がんを対象とした第1相臨床試験のデータで、AZD4635単剤もしくはデュルバルマブとの併用で早期の臨床活性が認められたというものです。

 この臨床試験は「進行固形がん患者を対象にしたアデノシン2A受容体拮抗薬AZD4635の第Ⅰ相用量漸増試験」で、非小細胞肺がん、転移性去勢抵抗性前立腺がん、大腸がんなど固形がんを対象としたものです。この試験の主な目的は、AZD4635とデュルバルマブを併用した場合のAZD4635の最大耐量の決定です。AZD4635単剤では、125mg、100mg、75mgで投与され、デュルバルマブとの併用では、75mgと10mgが併用投与されます。転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんを対象に、単剤もしくはデュルバルマブとの併用による AZD4635の早期臨床活性が観察されたそうです。

 AZD4635は、低分子アデノシン2A受容体(A2AR)拮抗薬です。がん細胞は、免疫システムから逃れるメカニズムを獲得するように進化します。アデノシンもそれに関わる分子の1つで、A2ARを介したアデノシンシグナル伝達により、免疫システムのT細胞の活性化を阻害し、T細胞のがん細胞殺傷能力を低下させます。AZD4635は、A2ARを選択的に拮抗することで、アデノシンによるT細胞抑制作用を解除することで、抗腫瘍効果を発揮します。2017年米国がん学会年次大会で発表された前臨床試験の報告では、AZD4635 がアデノシンによる T 細胞の機能抑制を解除し、T細胞の抗腫瘍免疫性を高めることが示されています。また、単剤で使用した場合や抗PD-L1チェックポイント阻害薬と併用した場合に、AZD4635がA2Aシグナル伝達を阻害し、腫瘍の増殖が低下することが示されています。

進行固形がん患者を対象にしたアデノシン2A受容体拮抗薬AZD4635の第Ⅰ相用量漸増試験

対象:進行固形がん、非小細胞肺がん、転移性去勢抵抗性前立腺がん、大腸がん
条件:18歳以上の男女で、全身状態(ECOG)が0~1の患者
フェーズ:第1相臨床試験
試験デザイン:平行群間、非盲検
登録数:276人
試験群:AZD4635単剤療法125mg
試験群:AZD4635単剤療法75mg
試験群:AZD4635単剤療法100mg
試験群:AZD463575mg+デュルバルマブ
試験群:AZD4635100mg+デュルバルマブ
試験群:AZD4635+エンザルタミド
試験群:AZD4635+アビラテロン
試験群:非小細胞肺がんに対するAZD4635+デュルバルマブ併用
試験群:免疫療法後の非小細胞肺がんに対するAZD4635単剤療法
試験群:他の固形腫瘍による免疫療法後に対するAZD4635単剤療法
試験群:免疫療法未治療の転移性去勢抵抗性前立腺がんに対するAZD4635+デュルバルマブ併用
試験群:免疫療法未治療の転移性去勢抵抗性前立腺がんに対するAZD4635単剤療法
試験群:免疫療法未治療の大腸がんに対するAZD4635単剤療法
試験群:免疫療法未治療の大腸がんに対するAZD4635+デュルバルマブ併用
試験群:他の固形がんを有するAZD4635単剤療法
主要評価項目:AZD4635単剤療法の用量制限毒性の発生率、AZD4635とデュルバルマブの併用療法の用量制限毒性の発生率、AZD4635とデュルバルマブの併用療法の用量制限毒性の発生率、アビラテロンまたはエンザルタミドと併用したAZD4635の用量制限毒性の発生率
副次的評価項目:最大血漿濃度、ピーク血漿濃度までの時間、最終排出速度定数、最終排出半減期、単回投与後の血漿中濃度、単回投与後の見かけの血漿クリアランスほか