「パンキャンジャパン」5年生存率9%-難治性がんの膵臓がんに希望を創る

眞島喜幸さん
NPO法人パンキャンジャパン理事長 眞島喜幸さん

2018.7 取材・文 大場真代

 パンキャンジャパンは、膵臓がん患者さんとその家族を支援するNPO法人。5年生存率が全がん種の中で最も悪い膵臓がんの患者さんは、信頼できる情報をできるだけ早く得ることがとても重要です。パンキャンジャパンでは情報提供をはじめ、膵臓がんの早期診断・治療に関する研究促進のための支援など幅広い活動を行っています。理事長の眞島喜幸さんに、活動についてうかがいました。

妹が膵臓がんで旅立ったことをきっかけに日本支部を設立

 NPO法人パンキャンジャパンは、2006年に米国非営利団体パンキャンの日本支部として設立しました。アメリカ本部のパンキャン(Pancreatic Cancer Action Network 略称:PanCAN)は、米国でも有数の膵臓がん患者支援団体で、米国国立がん研究所(NCI)の膵臓がん研究予算増額を目的とした活動や、シンポジウムの開催、膵臓がんに対する研究活動を支援する活動を行っています。

 団体の設立は、妹を膵臓がんで亡くしたことがきっかけでした。今から10数年前のことですが、当時はがん対策基本法ができる前で、膵臓がんについての情報がほとんどなく、世の中にがん難民があふれていました。また、セカンドオピニオンが全く浸透していなかったり、治療できる病院が限られていたり、使える抗がん剤が少なかったりするなど、さまざまな問題がありました。そうしたなかで、「膵臓がん患者さんを支援する仕組みが日本にも必要だ」と感じ、パンキャンの日本支部を設立することになりました。

家族性膵臓がん患者としての自身の経験から、患者登録制度に協力

 膵臓がんは、年間で約4万人以上の方が罹患しています。2016年の国立がん研究センターの「死亡数が多いがんの部位」調査では、膵臓がんは、男性で5位、女性で3位と、5大がんに続く高い死亡率となっています。膵臓がんは、症状が現れにくく、早期の発見が難しいことや、治療の選択肢が少ないことなどがその理由として挙げられます。

 また、膵臓がん全体の5~10%を占めるものに、親子や兄弟・姉妹に2人以上の膵臓がん患者さんがいる家系の人に発症する「家族性膵臓がん」があります。家族性膵臓がん家系の人は、通常よりも膵臓がんの発症リスクが高いことがわかっています。私も、妹が膵臓がんで若くして亡くなったことから、家族性膵臓がんを疑っていました。経過観察を続けた結果、2012年に早期の段階で腫瘍が見つかり、膵臓の全摘手術を受けました。術後6年、現在はインスリンポンプ(人工膵臓)をつけながら生活しています。

 膵臓がんの早期発見のために、日本膵臓学会が、「家族性膵癌登録制度」を日本に作りました。この制度は、家族性膵臓がん患者家系の人の登録制度のことで、早期診断や新しい治療法の開発を目的としたものです。パンキャンジャパンは、この制度に協力し、学会と共にこの制度の告知を広く行い、少しでも家族性膵臓がんの診断や治療に関する研究が進むよう推進しています。

電話相談・セミナーなどを通じた情報提供

 パンキャンジャパンでは、膵臓がん患者さんとその家族が必要とする情報をお届けするために、「PALS(パルズ)」電話相談サービスを開設しています。全国から、治療に関する不安や、日常生活に関する相談など、さまざまな相談が寄せられています。また全国の患者さんに情報をお届けするため、北海道・千葉県・神奈川県・静岡県・広島県・福岡県・沖縄県に支部を立ち上げ、各支部で勉強会や医療セミナーなどを開催しています。患者さんからは「最新の情報が聞けるのでありがたい」「元気になった方の話が聞けて心強い」といった声が寄せられています。

 また、患者さんやその家族以外にも膵臓がんを知っていただくための膵臓がん啓発イベントとして、毎年11月に日比谷公園でウオーキング&ランイベント「パープルストライド」を行っています。8回目となる2018年は、11月18日に行う予定です。

2020年までに膵臓がんの5年生存率を10%へ

 膵臓がんを取り巻く環境は、この10年ほどで少しずつ変わってきており、うれしいことに、ロングサバイバーの方も増えてきました。現在、膵臓がん患者さんが注目しているのがゲノム医療です。「治療の選択肢が増えるかもしれない」と多くの期待が寄せられています。

 パンキャンジャパンの目標は、「2020年までに膵臓がんの5年生存率を倍増させる(10%まで引き上げる)」こと。これからも、患者さん支援はもちろん、治療や早期診断、ゲノム医療といった膵臓がんに関わるさまざまな研究への支援など、膵臓がん患者さんの希望につながるような活動を行っていきます。

NPO法人パンキャンジャパン 外部リンク

がん種
膵臓がん
地域
全国
連絡先
TEL  03-3221-1421(電話相談:水・木・金 14:00~17:00)
FAX  03-3221-1422
Mail  info@pancan.jp
活動内容
パンキャンジャパンは、膵臓がん患者さんとその家族を支援するNPO法人です。情報提供などを通じた患者さんの支援だけではなく、膵臓がんの早期診断・治療に関する研究促進のための支援など幅広い活動を行っています。

がん相談窓口

がん患者さん、そのご家族のための相談窓口です。がんについての疑問やお悩みについて、気軽にご相談ください。

  • どんな治療があるのか知りたい
  • セカンドオピニオンって何?
  • 仕事は続けても大丈夫?  …など
相談はこちらから