肉腫の検査・診断
※これは一般的な情報です。患者さん個々の病態や治療法は異なるため、不明な点は必ず主治医にご確認ください。
肉腫の検査
肉腫の疑いがある場合、その発生部位が骨か軟部組織かによって検査内容が異なります。
悪性骨腫瘍の疑いがあるときは、問診、血液検査、レントゲン検査、CT、MRI、骨シンチグラム、PETなどの画像検査が行われます。
悪性軟部腫瘍の疑いがある時は、問診、レントゲン検査、CT、MRI、PET-CTなどの画像検査が行われます。軟部肉腫に関わる腫瘍マーカーがないため、血液検査は診断の決め手とはなりません。
また、一部の肉腫では特徴的な遺伝子異常が見つかっているため、正確な診断をするために遺伝学的検査が併用されることがあります。
悪性骨腫瘍の検査
悪性骨腫瘍かどうかを調べる検査では、年齢、腫瘍が発生した時期、部位などを調べるために問診、視診、触診が行われます。また、全身状態を把握するための血液検査、腫瘍の大きさや広がりを調べるための画像検査が行われます。
悪性骨腫瘍の血液検査では、CRP高値、白血球数の増加、貧血などが認められることがあります。また、アルカリフォスファターゼ(ALP)の値や乳酸脱水素酵素(LD) の値が高い場合もあります。
画像検査は、レントゲン検査、CT、MRI、骨シンチグラム、PETなどが行われます。
問診、血液検査、画像検査により、悪性腫瘍の疑いとなった場合は、生検による病理検査が行われます。生検には、針を刺して腫瘍組織を採取する「針生検」と手術により切開して腫瘍組織を採取する「切開生検」があります。悪性骨腫瘍など、診断のために十分な組織を採取する必要がある場合には、「切開生検」が行われます。採取した組織を病理医が調べることにより、良性か悪性かが判定されます。
悪性軟部腫瘍の検査
悪性軟部腫瘍かどうかを調べる検査では、問診、視診、触診が行われます。特に、発症の状況と痛みの有無を調べることで、腫瘤が「悪性」「良性」「非腫瘍性疾患」のどれであるか推定できることがあるため、問診は重要な検査とされています。
腫瘤の増大速度を知るために、「いつ気づいたか」「どうして気づいたか」「診察前に大きくなったという自覚があるか」が確かめられます。
大きさや部位、内部の性状を調べるために、X線、超音波、CT、造影CT、MRIなどによる画像検査が行われます。特に、内部の性状を評価できるMRIが有用とされています。また、造影CT は、腫瘍と血管の位置関係や腫瘍による血管浸潤の有無を評価するのに有効とされ、転移に対する検査ではCTが有効とされています。
悪性腫瘍の疑いとなった場合には、生検による病理検査が行われます。悪性軟部腫瘍を調べるための生検は多くの場合、外来診療で受けられる針生検です。生検で採取した組織を病理医が調べることにより、良性・中間型・悪性の分類や、組織型などが判定されます。
肉腫の診断
検査により肉腫の疑いとなり、生検によって悪性と診断された場合は、治療方針を決定するためにステージ分類が行われます。
悪性骨腫瘍の診断とステージ分類
悪性骨腫瘍のステージ分類には、「AJCC(American Joint Committee on Cancer)システム」および「UICC(Union for International Cancer Control)システム」によるTNM分類と「Surgical Staging System」の2種類があります。
TNM分類は、腫瘍の大きさや浸潤の程度(T分類)、リンパ節への転移(N分類)、遠隔部位への転移(M分類)、組織学的悪性度(G分類)を総合的に判断して決定されます。
T分類は、腫瘍ができた部位「四肢、体幹、頭蓋骨、顔面骨」「脊椎」「骨盤」により基準が異なります。
組織学的悪性度は、腫瘍細胞と正常細胞との類似の度合い(分化度)、分裂している細胞の数(分裂数)、腫瘍中に存在する壊死組織の程度(壊死)を組織検査で調べた結果から、3段階に分類されます。グレード1(G1)は低悪性度、グレード2(G2)は中間悪性度、グレード3(G3)は高悪性度です。
- T:病変の大きさや浸潤の程度
- N:病変周辺にあるリンパ節への転移
- M:遠隔部位への転移の有無
- G:組織学的悪性度
四肢、体幹、頭蓋骨、顔面骨のT分類では、腫瘍の長径が8cm以下(T1)、8cmより大きい(T2)、原発巣と連続性のない同一骨内の腫瘍(T3)などに分類されます。
脊椎のT分類では、腫瘍が存在する脊椎分節の数や、脊柱管内、血管への進展の有無により分類されます。
骨盤のT分類では、腫瘍の長径、骨外進展の有無、骨盤区分への広がり、主要血管への浸潤の有無などにより分類されます。
N分類は所属リンパ節転移の有無(N0/N1)で判定され、M分類は遠隔転移の有無(M0/M1)で判定されます。
組織学的悪性度(G分類)は、G1(低悪性度)からG3(高悪性度)に分類されます。
ステージは、TNM分類に基づき1~4に分類され、ステージ1、2、4はそれぞれAとBにさらに分類されます。
Surgical Staging Systemは、原発巣の外科的切除を考慮した分類です。これは「悪性度」「遠隔転移の有無」「腫瘍が区画内かどうか」を指標にステージ分類が行われます。腫瘍の大きさによる評価はなく、腫瘍の局在性(区画内/区画外)、組織学的悪性度、転移の有無によりステージ1~3に分類され、1と2はさらにAとBに分類されます。
悪性軟部腫瘍の診断とステージ分類
悪性軟部腫瘍のステージ分類にも、「AJCCシステム」および「UICCシステム」によるTNM分類と「Surgical Staging System」の2種類があります。現在の最新の分類は、AJCCの第8版です。
TNM分類は、腫瘍の大きさや浸潤の程度(T分類)、リンパ節への転移(N分類)、遠隔部位への転移(M分類)、組織学的悪性度(G分類)を総合的に判断して決定されます。
T分類は、腫瘍ができた部位(胸腔、腹腔内臓器、頭頸部など)により基準が異なります。
組織学的悪性度は、腫瘍細胞と正常細胞との類似の度合い、分裂している細胞の数、腫瘍中に存在する壊死組織の程度を組織検査で調べた結果から、グレード1(G1)からグレード3(G3)に分類されます。
- T:病変の大きさや浸潤の程度
- N:病変周辺にあるリンパ節への転移
- M:遠隔部位への転移の有無
- G:組織学的悪性度
胸腔・腹腔内臓器のT分類では、単一の臓器に限局(T1)、漿膜への浸潤(T2a/T2b)、2つ以上の臓器への浸潤(T3)、多病巣性腫瘍(T4a/T4b/T4c)などに分類されます。
頭頸部のT分類では、最大径(2cm以下、2cm超4cm以下、4cm超)や、眼窩、頭蓋底、脳実質などへの浸潤の有無により分類されます。
軟部腫瘍の体幹部と四肢・後腹膜のステージ分類は、TNM分類に基づきステージ1から4まで分類されます。
Surgical Staging Systemは、原発巣の外科的切除を考慮した分類です。「悪性度」「遠隔転移の有無」「腫瘍が区画内かどうか」を指標にステージ分類が行われます。腫瘍の大きさによる評価はなく、腫瘍の局在性(区画内/区画外)、組織学的悪性度、転移の有無によりステージ1~3に分類され、1と2はさらにAとBに分類されます。
※これは一般的な情報です。患者さん個々の病態や治療法は異なるため、不明な点は必ず主治医にご確認ください。

