カフェで学ぼうがんのこと「自覚症状が出にくい大腸がん」

提供:NPO法人ウィッグリング・ジャパン


溝部智亮先生
講師:久留米大学病院消化器科外科助教   溝部智亮先生

男女とも多い大腸がん

 日本での大腸がん罹患率は、男性は11人に1人、女性は14人に1人です。また、がんの部位別死亡率は男性3位、女性1位となっており、日本人はS状結腸や直腸にがんができやすいといわれています。

 大腸がんは早期の段階では自覚症状がほとんどありません。進行すると、血便、下血、便が細くなる、残便感、腹部膨満感、腹痛、貧血、体重減少などの症状が現れます。最も頻度の高い血便や下血は、痔などの良性疾患でも見られるため注意が必要です。がんが進行すると症状が慢性的になり、更に進行すると腸閉塞を起こし便が出ず、腹痛、嘔吐を起こします。

ステージ1の大腸がん5年生存率は95%以上

 大腸がんの治療には、内視鏡治療、手術、薬物治療、放射線治療があります。治療法は、進行具合、全身状態、年齢、合併する他の病気などを考慮して決められます。

 内視鏡治療はリンパ節への転移の可能性がほとんどなく、一括でとれる大きさと部位にある場合で、内視鏡治療で切除の難しい場合は開腹手術を行います。手術では、がんの部分だけでなく、転移の可能性がある範囲のリンパ節と腸管も切除します。

 薬物治療は、術後の再発抑制を目的とした「補助化学療法」と手術による治癒が難しい状況で行われる「切除不能進行・再発大腸がんに対する化学療法」があります。

 また、開腹手術には、排尿・排便障害、人工肛門などの術後合併症、薬物治療・放射線治療には副作用が伴います。副作用には、治療中に起こるものや治療終了後に起こるものがあり、これまで通りの生活が難しくなることが多いので、早期発見が大変重要なのです。

 大腸がんの5年相対生存率は、ステージ1で95.4%です。自覚症状が出てから発見されるがんは、ステージが進むにつれて5年生存率が低くなります。がん検査を受けるとともに、適度な運動を行い、暴飲暴食を避けるといった予防にも取り組みましょう。

 ※相対生存率とは、がん以外の死因による死亡の影響を取り除いたものです。

参加者と先生の質疑応答

Q.どのくらいの間隔で検査したらいいですか?

A 原因はわかりませんが、ポリープのできやすい体質はありますので、ポリープができやすい方は2~3年毎に大腸内視鏡検査、そしてポリープが見つかった場合には毎年受けるとよいでしょう。

Q.乳酸菌を良く摂った方がいいですか?

A 大腸には2万~2万5,000種以上の腸内細菌が生息しています。下痢や便秘は大腸がんのリスクを上げるので、腸内環境を整えることは良いことです。

Q.いろいろなサプリメントがありますが、摂ったほうがよいですか?

A がん予防のサプリについては疑問があり、それよりもバランスの取れた食事を摂ることが一番大切です。

Q.大腸がんは聞きますが、小腸がんもありますか?

A 小腸がんもありますが発症率は低いです。自覚症状が出にくく、見つかった時にはずいぶんと進行していることが多いです。

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