検査・診断

成人T細胞白血病・リンパ腫の検査・診断

 成人T細胞白血病・リンパ腫の疑いがある場合は、血液検査が行われます。成人T細胞白血病・リンパ腫では、花細胞(フラワーセル)と呼ばれる、細胞の核が花びらの形をした異常なリンパ球が見つかります。また、発症原因となるHTLV-1に感染しているかを確認するための抗体検査も行われます。リンパ節が腫れている場合は、悪性の細胞があるかを調べるためにリンパ節生検が行われます。診断を確定するために、血液中やリンパ節の細胞に感染したウイルスの遺伝子があるかどうかを調べることもあります。

 診断が確定した場合は、治療方針を決めるためにさまざまな検査が行われます。全身の臓器への病変の広がりを調べるために、超音波検査やCT検査、X線検査、内視鏡検査などの画像検査が行われます。骨髄への浸潤に対しては骨髄穿刺、脳や脊髄への浸潤に対しては脳脊髄液を調べる検査が行われることもあります。

成人T細胞白血病・リンパ腫の病型

 成人T細胞白血病・リンパ腫は、がん細胞の増えかたや検査値により、「くすぶり型」「慢性型」「リンパ腫型」「急性型」の4つの病型に分類されます。病型によって、治療選択が異なります。このうち、「急性型」「リンパ腫型」「予後不良因子のある慢性型」は、進行が速く進みます(アグレッシブタイプ)。「くすぶり型」と「予後不良因子のない慢性型」は、進行が比較的緩やかです(インドレントタイプ)。

成人T細胞白血病・リンパ腫の診断基準

くすぶり型慢性型リンパ腫型急性型
抗HTLV-1抗体陽性陽性陽性陽性
リンパ球数4,000/μL未満4,000/μL以上4,000/μL未満
異常リンパ球数5%以上/条件あり(1)あり/条件あり(2)1%以下あり/条件あり(2)
花細胞関係なし関係なしなしあり
LDH正常上限の1.5倍以下正常上限の2倍以下
補正カルシウム値110mg/dL未満110mg/dL未満
リンパ節の腫れなしあり
腫瘍病変皮膚条件あり(1)
条件あり(1)
リンパ節なしあり
肝腫大なし
脾腫大なし
中枢神経なしなし
なしなし
胸水なしなし
腹水なしなし
消化管なしなし

条件(1):血液中の異常リンパ球が5%未満でくすぶり型と診断されるには、皮膚あるいは肺に病変の腫瘍確認が必要
条件(2):血液中の異常リンパ球が5%未満で、慢性型または急性型と診断されるには、腫瘍病変の確認が必要
出典:一般社団法人日本血液学会編. ”造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版”.金原出版、2018. 第II章 リンパ腫、II リンパ腫、成人T細胞白血病・リンパ腫 表1より作成

参考文献:一般社団法人日本血液学会編. ”造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版”.金原出版、2018.
日本皮膚科学会/日本皮膚悪性腫瘍学会編.”皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン 第2版”.金原出版、2015.

最新のがん医療情報をお届けします。

無料で 会員登録
会員の方はこちら ログイン