再発
成人T細胞白血病・リンパ腫の治療効果判定と再発
治療効果判定
成人T細胞白血病・リンパ腫の治療効果判定は、非ホジキンリンパ腫と慢性リンパ性白血病の効果判定基準を元にした、JCOG治療効果判定が基準とされています。治療効果判定基準は、治療開始時に、標的病変がある場合とない場合の2つがあります。それぞれ、標的病変、非標的病変、骨髄浸潤、異常リンパ球数、皮膚病変、新病変などの評価項目を元に、完全奏効、部分奏効、安定、病勢進行などで総合的に評価されます。
成人T細胞白血病・リンパ腫の治療効果判定基準(治療開始時に標的病変あり)
総合効果 | 評価項目 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
標的病変 | 非標的病変 | 骨髄浸潤 | 末梢血病変 (異常リンパ球) | 皮膚病変 | 新病変 | |||
節性 | 節外性 | 節性 | 節外性 | |||||
完全奏効 | 正常 | 消失 | 正常 | 消失 | 陰性 | 正常 | 正常 | なし |
部分奏効 | SPD※の50%以上の縮小 | 正常または非増大 | 消失または非増大 | 問わない (未検可) | 正常または減少 | 正常または縮小 | なし | |
安定 | 完全奏効、部分奏効、進行のいずれにも判定されない | |||||||
進行 | 以下のいずれか1項目でも満たした場合に進行と判定する | |||||||
SPD※の50%以上の増大または 節性標的病変の再腫大または 節外性標的病変の再出現 | 増大または再腫大 | 増大または再出現 | 陽性化 | 増加 | 増大または再出現 | あり |
成人T細胞白血病・リンパ腫の治療効果判定基準(治療開始時に標的病変なし)
総合効果 | 評価項目 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
非標的病変 | 骨髄浸潤 | 末梢血病変 (異常リンパ球) | 皮膚病変 | 新病変 | |||
節性 | 節外性 | ||||||
完全奏効 | 正常 | 消失 | 陰性 | 正常 | 正常 | なし | |
部分奏効 | 正常または非増大 | 消失または非増大 | 問わない (未検可) | 正常または減少 | 正常または縮小 | なし | |
安定 | 完全奏効、部分奏効、進行のいずれにも判定されない | ||||||
進行 | 以下のいずれか1項目でも満たした場合に進行と判定する | ||||||
増大または再腫大 | 増大または再出現 | 陽性化 | 増加 | 増大または再出現 | あり |
再発・難治性の治療
インドレントタイプで無治療経過観察後に病状が進行した患者さんに対しては、アグレッシブタイプと同じ化学療法が行われます。化学療法を行っても部分奏効も得られなかった患者さんは、救援療法として化学療法や分子標的療法、同種造血幹細胞移植、緩和的放射線療法、緩和ケアのいずれかが選択されます。
再発・難治性のアグレッシブタイプの患者さんに対する化学療法は、抗がん剤を併用したVCAP-AMP-VECP療法です。このほかに、抗CCR4抗体薬「モガムリズマブ」と免疫調整薬「レナリドミド」が承認されています。モガムリズマブは、T細胞に発現している「CCR4」というタンパク質に、選択的に結合することで、がん化したT細胞の増殖を抑制する分子標的薬です。レナリドミドは、血管新生の阻害やアポトーシスの誘導により、がん細胞の増殖を抑制する薬です。いずれの薬物治療も長期の奏効は期待できませんが、現在、化学療法後の再発・難治性の患者さんの一部で、長期生存の可能性がある治療法は、同種造血幹細胞移植です。
参考文献:一般社団法人日本血液学会編. ”造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版”.金原出版、2018.
日本皮膚科学会/日本皮膚悪性腫瘍学会編.”皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン 第2版”.金原出版、2015.