基礎・症状

成人T細胞白血病・リンパ腫とは

 成人T細胞白血病・リンパ腫は、九州・沖縄地方など日本の西南地方で多く見られる悪性リンパ腫の1つです。ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)に感染したT細胞が、がん化することで発症します。がん化した細胞の核部分が、花びらのような形をしているのが特徴です。

 国内のHTLV-1感染者は110万人と推定されますが、発症するのは年間600~800人程度と発症率は高くありません。感染経路は、輸血、性交、母乳など複数ありますが、発症者の多くは母乳による感染と考えられています。HTLV-1に感染しても、潜伏期間が長いため、20歳代での発症者は少なく、発症年齢のピークは70歳頃です。

成人T細胞白血病・リンパ腫の症状

 成人T細胞白血病・リンパ腫を発症すると、免疫が正常に働かなくなるため感染症にかかりやすくなります。首や腋(わき)の下、足の付け根など全身のリンパ節、肝臓や脾臓の腫れなどの症状が起こります。また、原因不明の発熱、皮膚症状(発赤、盛り上がり、潰瘍など)、下痢や腹痛などの消化器症状も多くみられ、特に半数以上の患者さんで皮膚症状が認められます。病状が悪化すると倦怠感、便秘、意識障害を起こします。

参考文献:一般社団法人日本血液学会編. ”造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版”.金原出版、2018.
日本皮膚科学会/日本皮膚悪性腫瘍学会編.”皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン 第2版”.金原出版、2015.

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