国がん、先進医療Bで実施するがん関連遺伝子を網羅的に調べる遺伝子検査の対象など詳細を発表
2018/04/06
文:がん+編集部
がん関連遺伝子を1回の検査で網羅的に解析し、抗がん剤選択に役立てる
国立がん研究センター中央病院は、4月1日に先進医療として承認され、4月9日から先進医療Bとして実施する「個別化医療に向けたマルチプレックス遺伝子パネル検査」の詳細を4月3日に発表しました。
この遺伝子検査は、国立がん研究センターが日本人の特徴を踏まえ開発した試薬「NCCオンコパネル」を用いたもので、がんに関連する114個の遺伝子変異と12個の融合遺伝子変異を1回の検査で網羅的に解析し、抗がん剤の選択に役立てることができるといいます。
先進医療Bは、保険適用の対象にするかどうかを検討するため、有効性・安全性を臨床研究で評価するものです。今回の先進医療は「個別化医療に向けたマルチプレックス遺伝子パネル検査研究」として実施します。
「NCCオンコパネル」による遺伝子検査では、1回の検査でがんに関連する多くの遺伝子変異を調べ、抗がん剤の選択に役立てることができるといいます。一方で、遺伝子検査の結果、遺伝子に異常が見つからない場合や、異常が見つかっても治療に使用できる薬剤がない場合もあり、これまでの臨床研究で遺伝子変異に合う薬剤投与ができた患者さんは約10%です。
対象は、16歳以上の標準治療がない、または標準治療があっても終了(見込み含む)している固形がんの患者さん、あるいは原発不明がんの患者さんです。国立がん研究センター中央病院のほか、今後、がんゲノム医療中核拠点病院やがんゲノム医療連携病院の一部とも協力し、205例から最大350例の患者さんに参加してもらうことで、NCCオンコパネル検査の有用性を検証します。その後、遺伝子検査の結果に基づき、既に承認されている薬だけではなく、未承認薬や適応外薬を用いた企業治験や医師主導治験なども含めた薬剤選択を行い、その有効性についても確認し保険適用を目指すとしています。
先進医療技術である遺伝子解析に必要な費用は全額自己負担となり、それ以外の検査や診察の費用は一般の保険診療と同様の費用を負担することになります。遺伝子検査にかかる費用は約67万円(このうち一部を研究費で補てんするため患者さんの負担額は約47万円)で、今回の研究に必要な検査や診察にかかる費用の目安は約2万5千円(3割負担の場合)だとしています。また、遺伝子検査の結果、遺伝子に異常が見つからない場合や、異常が見つかっても治療に使用できる薬剤がない場合でも費用はかかります。
同センターは、対象となる条件や費用等も踏まえ、主治医等とよくご相談の上で受けるように呼びかけています。