同種幹細胞移植後の急性骨髄性白血病に対するベネトクラクスの治験

治験の募集状況は、「医薬品情報データベース 臨床試験情報外部リンク」ページでご確認ください。

上記ページにアクセスし、条件欄から「試験の名称」を選択、このページの「試験概要詳細」の「試験の名称」をコピーして、キーワード欄に貼り付け、検索してください。

治験名

VIALE-T

同種幹細胞移植後の急性骨髄性白血病患者さんを対象としてベネトクラクスとアザシチジンの併用投与の安全性および有効性を評価する無作為化非盲検第3相試験

治験概要:

急性骨髄性白血病に対する治験。同種幹細胞移植後の患者さんが対象です。
ベネトクラクス+アザシチジン併用療法と支持療法を比較して、有効性と安全性で評価する臨床試験です。
登録予定数は、52人。
フェーズは、第3相臨床試験。
試験デザインは、無作為化非盲検試験。
試験群:ベネトクラクス+アザシチジン併用療法
対照群:支持療法
無再発生存期間、全生存期間、患者報告アウトカム、GvHD発現率、微小残存病変などで評価します。

疾患解説:急性骨髄性白血病

白血病は、血液細胞ががん化する血液のがんです。
白血病は、造血幹細胞のうち骨髄系とリンパ系の2つと症状の違いによる急性と慢性の2つの分類から、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病の4つに大きく分類されます(表1)。
国立がん研究センターのがん統計によると2014年に白血病に罹患した人は、約12000人です。
急性骨髄性白血病は、年間10万人に2~3人程度が発症するといわれ、高齢になるほど増加します。
急性骨髄性白血病は、未熟な血液細胞が何らかの原因の遺伝子異常によりがん化し、無制限に増加することで発症します。骨髄中の白血病細胞がWHO分類で20%以上、FAB分類で30%以上になると急性骨髄性白血病と診断されます。
急性骨髄性白血病の主な症状は、正常な血液が作られなくなることで起こるものと腫瘍化した細胞が臓器に浸潤して現れるものがあります。
正常な白血球が作られなくなるとウイルスや細菌などに対する抵抗力が低下し感染症にかかりやすくなります。赤血球の減少は、倦怠感、動悸、息切れといった症状がでます。血小板の減少は、鼻血がでたりあざができやすくなり、出血しやすくなります。
臓器に浸潤すると、肝臓や脾臓が腫れ、お腹が張ったり痛みが起こります。骨に浸潤すると、腰痛や関節痛、髄膜への浸潤では頭痛がおこります。

表1 白血病の主な分類

骨髄性リンパ性
急性急性骨髄性白血病
(AML: acute myeloid leukemia)
急性リンパ性白血病
(ALL: acute lymphoblastic leukemia)
慢性慢性骨髄性白血病
(CML: chronic myelogenous leukemia)
慢性リンパ性白血病
(CLL: chronic lymphocytic leukemia)

治験薬:ベネトクラクス

ベネトクラクスは、BCL-2タンパク質と選択的に結合し阻害する分子標的薬です。
血液がんや他のがんではBCL-2が過剰発現していることがあります。このBCL-2が過剰発現していると、抗がん薬などでがん細胞を攻撃しても、細胞死や自己破壊を阻止します。ベネトクラクスは、BCL-2タンパク質を標的とすることで、がん細胞で失われた細胞死や自己破壊の過程を回復させ、細胞死を誘導する作用があります。

治験薬:アザシチジン

アザシチジンは、DNAメチル化阻害薬です。
がん細胞では、DNAのメチル化が活性しているため、がん抑制遺伝子が抑制されています。アザシチジンは、DNAのメチル化を誘導することで、がん抑制遺伝子を発現させることで、抗腫瘍効果を発揮します。また、細胞の基となるたんぱく質の合成を妨げることで、異常細胞の増殖を抑制します。

主な治験参加条件

対象となる人
  • パート1は18歳以上
  • パート2は12歳以上
  • 急性骨髄性白血病と診断され、同種幹細胞移植を予定しているかまたは過去14日以内に同種幹細胞移植を受けている者
  • 移植前の骨髄中の芽球の割合が10%未満
  • 移植後の末梢血中の芽球数が0かつ移植後の骨髄中の芽球の割合が5%未満
  • 適切な腎機能、肝機能及び血液学的基準を満たす患者
  • 17歳以上はカルノフスキーの一般状態(KPS)スコアが50を超え、12-16歳はLansky Play Performance Scaleスコアが40を超えていなければならない
  • 年齢:12歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • ベネトクラクス投与歴がある場合、投与中に疾患進行が認められている
  • 2年以内に以下を除く悪性腫瘍の既往歴がある
    適切に治療された子宮頸部上皮内がんまたは乳房上皮内がん
    皮膚の基底細胞がんまたは限局性扁平上皮がん
    根治目的で外科的に切除した限局性の悪性腫瘍
    骨髄異形成症候群
  • HIV、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスが陽性
  • 髄外骨髄性悪性腫瘍の臨床的または臨床検査で症状または徴候が認められる者

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。

ECOG パフォーマンスステータス


PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない100正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする70自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある40動けず、適切な医療および看護が必要
30全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10死期が切迫している
0

WHO パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
0全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。
※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。

試験概要詳細

試験の名称同種幹細胞移植後の急性骨髄性白血病患者を対象としてベネトクラクスとアザシチジンの併用投与の安全性及び有効性を評価する無作為化,非盲検第III相試験(VIALE-T)[M19-063]
試験の概要本試験の主要目的は、AML患者の無再発生存期間(以下、「RFS」)の改善におけるベネトクラクスとアザシチジンの併用投与の有効性を評価することである。同種幹細胞移植(SCT)後に維持療法として投与した場合の支持療法(BSC)と比較する
本治験は2つのパートで構成され、パート1(用量確認パート)には18歳以上の患者を登録する。パート2(無作為化パート)には12歳以上の患者を登録する。パート1では、ベネトクラクスとアザシチジンの併用投与時の第III相試験推奨用量を決定し、パート2ではベネトクラクスとアザシチジン併用投与時(パート2のA群)の有効性及び安全性をBSC(パート2のB群)と比較する
疾患名急性骨髄性白血病
試験薬剤名Venetoclax
用法・用量ベネトクラクスを各28日サイクルでDay1から1日1回24サイクル経口投与する
対照薬剤名支持療法
用法・用量
試験のフェーズフェーズ3/phase3
試験のデザイン本試験の主要目的は、AML患者の無再発生存期間(以下、「RFS」)の改善におけるベネトクラクスとアザシチジンの併用投与の有効性を評価することである。同種幹細胞移植(SCT)後に維持療法として投与した場合の支持療法(BSC)と比較する
本治験は2つのパートで構成され、パート1(用量確認パート)には18歳以上の患者を登録する。パート2(無作為化パート)には12歳以上の患者を登録する。パート1では、ベネトクラクスとアザシチジンの併用投与時の第III相試験推奨用量を決定し、パート2ではベネトクラクスとアザシチジン併用投与時(パート2のA群)の有効性及び安全性をBSC(パート2のB群)と比較する
目標症例数52
適格基準
  • 18歳以上の成人(パート1)、12歳以上の者(パート2)
  • 世界保健機関(WHO、2017年)の基準に基づきAMLと診断されており、同種幹細胞移植を予定しているか又は過去14日以内に同種幹細胞移植を受けている者
  • 移植前の骨髄中の芽球の割合が10%未満
  • 移植後の末梢血中の芽球数が0かつ移植後の骨髄中の芽球の割合が5%未満
  • 治験実施計画書に記載された適切な腎機能、肝機能及び血液学的基準を満たす患者
  • 17歳以上の被験者はカルノフスキーの一般状態(KPS)スコアが50を超え、12-16歳の被験者はLanskyPlay Performance Scaleスコアが40を超えていなければならない
  • 年齢:12歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • ベネトクラクス投与歴がある場合、投与中に疾患進行が認められている
  • 組入れ前2年以内に以下を除く悪性腫瘍の既往歴がある者:
    適切に治療された子宮頸部上皮内癌又は乳房上皮内癌
    皮膚の基底細胞癌又は限局性扁平上皮癌
    根治目的で外科的に切除(又は他の方法により治療)した限局性の悪性腫瘍
    骨髄異形成症候群
  • HIV感染が確認されている者。B型肝炎ウイルス(HBV)又はC型肝炎ウイルス(HCV)感染検査で陽性の者
  • 髄外骨髄性悪性腫瘍の臨床的又は臨床検査で症状又は徴候が認められる者
主要な評価項目有効性/efficacy
検証的/confirmatory
主要な評価方法無再発生存期間(RFS)
副次的な評価項目安全性/safety
有効性/efficacy
薬物動態/pharmacokinetics
その他/other
副次的な評価方法全生存期間(OS)
無移植片対宿主病(GvHD)無再発生存期間(GRFS)
患者報告アウトカム
GvHD発現率
微小残存病変(MRD)
予定試験期間2019年10月1日~2024年10月31日

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより