相談:前立腺がんの手術の副作用(尿漏れや性感の喪失)が心配です

QOL 副作用 治療選択

60歳手前で、転移のない前立腺がんと診断を受けました。T分類はT2aで、治療選択肢は、ロボット支援手術(ダヴィンチ)または強度変調放射線治療(IMRT)のどちらかということでした。ロボット支援手術を選択した場合、前立腺、精嚢、勃起神経、周囲の括約筋を全摘するそうで、尿漏れの心配に加え、射精ができなくなると聞いています。

尿漏れは肛門筋のリハビリで防ぐことができるそうですが、絶えず肛門を意識的に占め続けることなどできるのでしょうか?また、精嚢と勃起神経を切除すると射精はできませんが、性感(オーガズム)も失うのでしょうか?

(本人、男性)

回答:性感は、勃起神経の温存状態などにより、術後の病態で異なる

前立腺がんの治療に関して、がんプラスに掲載されている記事から、ポイントをご案内します。

転移のない前立腺がんの治療選択
・転移のない前立腺がんでは、手術、放射線療法どちらも選択肢になり、治療成績にあまり違いはありません
・放射線療法には身体の外から放射線を照射する外部放射線療法と放射線性物質を内包した小さなカプセルを前立腺に埋め込む小線源療法があります
・手術では、がんの進行度や手術の所見によっては術後に外部放射線療法やホルモン療法を追加することがあります
・放射線治療でも外部放射線療法と小線源治療を組み合わせる場合やホルモン療法を追加することがあります
・手術と放射線治療で異なるのは、治療期間や治療に伴う一時的な合併症の種類です

手術に関して
・前立腺がん治療では、限局性がんでも局所進行がんでも手術療法の対象となり、前立腺すべてと精嚢を切除する前立腺全摘除術が行われます
・手術方法は、開腹手術、腹腔鏡下手術、ロボット支援手術という3つがあります
・3つの手術方法では、前立腺がんの根治性に関してはあまり変わりません
・手術では、パッドが必要な尿失禁の持続、勃起機能が障害される確率が高くなります
・3つの手術方法の中では、ロボット支援手術が尿失禁の回復が早いことが多くあります
・性機能を残すための神経温存も、ロボット支援手術で行ったほうが、回復率が高くなります
・勃起不全発生率は、勃起神経温存術でも放射線治療と比べて高めです

放射線治療に関して
・放射線治療は、外来通院で治療が可能です
・痛みなどはなく、体力が低下している高齢者でも倦怠感を感じない、勃起機能も当面温存されやすいことなどがメリットです
・放射線治療のデメリットは、頻度は低いものの治療の約10年後まで血尿や尿道痛などの排尿障害や血便などの排便障害が一時的に起こる可能性があることです
・これらの症状は治療をしなくても数か月から1年超で消失することが多いですが、まれに重症化することもあります
・1%未満の頻度ですが、数十年後に放射線を照射した付近の膀胱、直腸、筋肉、骨などに放射線治療に伴うがんが発生することがあります
・高精度放射線治療の中で最も多く行われている治療法は、IMRT/VMATによる通常分割法で、治癒率は手術と同程度と高いうえに安全性も高い治療法です
・IMRT/VMATは、約2か月間平日毎日通院が必要なため患者さん負担は少なくありません
・治療効果と安全性を保ちながら患者さんが通いやすいように開発されたのが、SBRT(体幹部定位放射線治療)です
・SBRTは、低リスクから中間リスクの患者さんであれば、長期的にみても手術や他の放射線治療である通常分割法や小線源療法と同等の治癒率が得られることがわかっています

性感(射精感)に関しては、勃起神経の温存状態などにより、術後の病態で異なります。...

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