相談:前立腺がんの治療をしながら趣味を続けたい。なるべく負担の少ない放射線治療は

QOL 副作用 治療選択

73歳で、前立腺がんと診断を受けています。PSA値は7.72、生検で8本中1本が陽性、グリソンスコア7で中リスク、TNM分類はT2a N0M0で、骨や他臓器への転移は確認されていません。

治療をしながら、ダンス、吹き矢、グランドゴルフなど趣味を続けたいので、なるべく副作用が少ない治療を受けたいと思っています。陽子線治療、体幹部定位放射線治療(SBRT)、小線源療法の3つの治療選択で迷っており相談です。

1つ目は、陽子線治療について、尿道、直腸、膀胱等への副作用が少なくて良さそうと聞いていますが、本当にそうでしょうか。

2つ目は、SBRTと陽子線治療の副作用は、どちらが少ないのでしょうか。また、陽子線治療で挿入するハイドロゲルスペーサの処置は、簡単なのでしょうか。

3つ目は、小線源治療法についてです。効果はあると聞いたのですが、副作用はどの程度なのでしょうか。体内に放射線源を持ち続けることになり、その放射線が原因の膀胱がんや直腸がんの発生率は他の治療法より高くなりますか。

(本人、男性)

回答:入院日数や治療回数が異なるため、ライフスタイルに合わせた選択も考慮

前立腺がんの治療に関する情報を「前立腺癌診療ガイドライン2016年版」から、陽子線治療の副作用に関する情報をがんプラスに掲載されている記事から、それぞれポイントをご案内します。

外部照射による放射線/陽子線治療とその副作用に関して
・放射線にはX線、γ線、粒子線(陽子線・重粒子線)など複数の種類があり、これらの放射線を用いたさまざまな放射線治療があります
・3D-CRTは、多方面から3次元的に病変に放射線を照射する治療法です
・IMRTやVMATは、CT画像の情報を元に病変だけを狙い、周辺の正常組織になるべく放射線が当たらないように開発された治療法です
・SBRTは、IMRTやVMATの技術により、いろいろな方向からピンポイントで照射することで1回の照射量を多くし、照射回数を少なくした治療法です
・陽子線治療は、放射線のエネルギーが到達する深さを調節することができるため、狙った部分に照射することができます
・そのため、周辺の正常組織へのダメージが少なく、体への負担や副作用が少ないと考えられています

放射線治療による二次発がんのリスクに関して
・二次元照射や術後照射は、高精度外照射や組織内照射に比べて二次発がんの発生リスクが高くなります
・「3D-CRT、IMRT、小線源療法,外照射併用小線源療法」と「手術」を比較した臨床試験では、直腸がん、膀胱がんともに二次発がん発生率に有意な差が認められなかったことが報告されています

小線源療法に関して
・永久挿入密封小線源療法は、ヨウ素125シード線源を永久的に前立腺内に留置することで照射を行う放射線療法です
・ヨウ素125の半減期は59.4日で、1年経つと放出される放射線は無視できるほど低くなります
・中・高リスク患者さんに対しては、外照射併用小線源療法が推奨されていますが、併用により高線量の照射が行われるため直腸や尿道での有害事象の発生が多くなることが懸念されています

スペーサに関して
・スペーサ留置術は、前立腺と直腸の間に「ハイドロゲル」を留置することで、直腸への被ばくを低減させるために行われます
・留置法に関しては、放射線治療により、麻酔法やスペーサの挿入時期が異なります
・外部照射の場合は、照射前開始より前に局所麻酔でスペーサ留置が行われます
・小線源療法の場合は、小線源治療の直後に麻酔が効いている間にスペーサ留置が行われます

陽子線治療、SBRT、小線源療法のいずれにも副作用はあり、病態により患者さんで異なります。...

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