相談:前立腺全摘術後の尿漏れが心配です。何かいい方法はありませんか?

手術(外科治療) 副作用 治療選択

前立腺全摘除術に関する「ピールテクニック」と呼ばれる手技を用いた手術の動画をみました。この手術法では、術後の尿漏れの心配はないと話していたのですが、現在、この方法は行われているのでしょか? また、ダビンチ手術(ロボット支援下前立腺全摘除術)でこの方法は可能なのでしょうか?

主治医には、「術後も尿漏れがひどければ、人工尿道括約筋を埋込む手術を考えてもよいかもしれないが、うちの施設では行っていない」と言われました。人工尿道括約筋の埋込みは、尿漏れ頻度がどれくらいであれば保険適用になるのでしょうか?

(本人、男性)

回答:術後2年以上経っても、パッドが1日に3~4枚以上必要な重症尿失禁の患者さんが人工括約筋埋込み術の対象

日本泌尿器学会の「前立腺癌診療ガイドライン2016年版」から前立腺がんの治療に関する情報を、また、国立がん研究センター東病院のウェブサイトから、人工括約筋埋込み術に関する情報をご案内します。

前立腺全摘除術に関して
・前立腺全摘除術は、「開腹による恥骨後式前立腺全摘除術(RRP)」「腹腔鏡下前立腺全摘除術(LRP)」「ミニマム創内視鏡下前立腺全摘除術(ミニマム)」「ロボット支援前立腺全摘除術(RALP)」が保険適用となっています
・RALPは、RRPとLRPと比べて術後尿失禁の早期回復が認められています
・前立腺癌診療ガイドラインに、ピールテクニックを用いた前立腺全摘除術に関する記載はありません
・術後尿失禁の治療として骨盤底筋体操、および人工尿道括約筋埋込み術は有効とされています

人工括約筋埋込み術に関して
・前立腺がんに対する前立腺全摘除術後は、尿道括約筋の機能低下による腹圧性尿失禁が生じます
・大多数の患者さんは、時間経過とともに改善し(6か月までが劇的にその後はゆるやかに)、18~24か月までは改善の可能性があると報告されています
・一部の患者さんで、術後2年以上経っても、1日にパッドが3~4枚以上必要な重症尿失禁の患者さんがいます
・こうした患者さんの治療として、人工尿道括約筋(AMS-800)埋込み手術があります
・人工括約筋は、3つのパーツに分かれており、「カフ(尿道を圧迫する部分)」「圧力調整バルーン(液体を貯留しておく部分)」「コントロールポンプ(陰嚢内に設置して尿道括約筋を動かすスイッチとなる部分」を体内に設置されます
・尿道の周りにシリコン製のチューブを巻き付け、その中に生理食塩水を充填することで尿道を圧迫し、尿失禁を治療します

ピールテクニックを用いた前立腺全摘除術を、ロボット支援下手術で行えるかどうかは不明です。...

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