肝臓がんの再発・転移
肝臓がんの経過観察、再発や転移に対する予防法、治療法を紹介します。
肝臓がんの経過観察
根治的治療が行われても、肝細胞がんは再発率が高いのが特徴です。しかし、再発しても初発と同様の治療選択が可能で、治療効果も一定以上期待できるため、根治的治療後の経過観察が重要です。
根治治療として切除手術、穿刺局所療法、肝移植が行われた後は、腫瘍マーカーと画像検査を併用した経過観察が行われます。3~6か月間隔の超音波検査と腫瘍マーカー測定を軸に、dynamicCT/MRIが併用して行われます。
肝臓がんの再発予防
肝細胞がんは再発率が高いため、再発予防が重要です。
肝癌診療ガイドライン2021年版によると、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスが原因で発症した肝細胞がんでは、切除手術や穿刺局所療法後の再発予防として、抗ウイルス療法が有効な可能性があるとされています。また、肝移植後の再発予防には、mTOR阻害薬により、再発を抑制するための治療も考慮されます。
肝臓がんの再発・転移に対する治療
切除手術や穿刺局所療法後の再発に対する治療は、初回治療時の治療選択に準じて行われます。初回治療の直後や早期に再発した場合は、初回治療とは別の治療法も個別に検討されます。
肝癌診療ガイドライン2021年版によると、肝切除後の再発に対しては、肝切除と肝移植は同等の成績だとされています。しかし、全体的な生存率と移植のためのドナー不足を考えると、再発に対する肝切除は重要な治療の1つとされています。
肝移植後の再発に対しは、切除可能であれば手術を、不可能なら薬物療法が考慮されます。肝癌診療ガイドライン2021年版によると、全身に転移が広がっている場合は、殺細胞性抗がん剤より、ソラフェニブの方が生存期間は長い一方で、副作用による減量や中止せざるを得なかった患者さんの報告もあるとされています。
mTOR阻害薬を使用していない患者さんに対しては、mTOR阻害薬による治療が考慮されます。
参考文献
日本膵臓学会 膵臓がん診療ガイドライン改訂委員会編.膵癌診療ガイドライン2019年版.金原出版