肝臓がんの再発・転移

※これは一般的な情報です。患者さん個々の病状や治療法は異なりますので、不明な点は必ず主治医にご確認ください。

肝臓がんは、手術などでがんを完全に取り除いた後も、残念ながら再発することが多いがんの一つです。これは、がんの背景にB型肝炎やC型肝炎、アルコール性肝障害といった慢性的な肝臓の病気があるため、治療した場所以外の肝臓に新しくがんが発生しやすいためです。そのため、治療後の継続的なケアが非常に重要になります。

肝臓がんの経過観察

治療でがんがなくなった後も、再発を早期に発見するために、定期的な通院と検査が欠かせません。

検査の頻度と内容

一般的に、治療後は3〜6か月に1回程度の頻度で通院します。検査は、お腹の超音波(エコー)検査と、血液検査でがんの目印となる特殊な物質を調べる腫瘍マーカーの測定が中心です。必要に応じて、より詳しく調べるためにCT検査やMRI検査も行われます。

肝臓がんの再発予防

肝臓がんの再発を防ぐためには、がんの温床となっている肝臓自体の状態を良くすることが最も重要です。

原因となっている肝臓の病気の治療

特に、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスが原因で肝臓がんになった患者さんの場合、ウイルスの活動を抑えるための抗ウイルス療法を行うことが、新しいがんの発生を抑え、再発予防につながる可能性があります。主治医と相談し、適切な治療を受けることが大切です。

肝臓がんの再発・転移に対する治療

もし肝臓がんが再発してしまった場合でも、さまざまな治療法があります。どの治療法を選択するかは、初回の治療と同じように、肝臓の機能がどのくらい保たれているか(肝予備能)、そして再発したがんの個数や大きさ、場所などを総合的に判断して決定します。

主な治療の選択肢

手術(肝切除)

再び手術でがんを切り取ることができる場合は、最も根治的な治療法として検討されます。

穿刺局所療法(ラジオ波焼灼療法など)

がんの個数が少なく、大きさが小さい場合に良い適応となります。

肝動脈化学塞栓療法(TACE)

がんを栄養している血管にカテーテルを入れ、抗がん剤を注入した後に血管を詰めて、がんへの血流を遮断してがんを壊死させる治療法です。

薬物療法

がんが肝臓全体に広がっていたり、他の臓器に転移したりしている場合に行われます。がんの増殖に関わる特定の分子を狙う「分子標的薬」や、自身の免疫力を高めてがんを攻撃する「免疫チェックポイント阻害薬」などが使われます。

肝移植

年齢や体の状態などの条件を満たせば、再発した場合でも肝臓全体を入れ替える肝移植が選択肢となることがあります。

【重要事項】
・本情報は一般的な概要であり、個々の患者さんの状態によって最適な治療法は異なります。
・治療方針は、必ず専門の医師と最新の診療ガイドラインに基づいて決定されます。ご不明な点は、主治医にご確認ください。