肝臓がんの基礎知識

肝臓がんとはどんな病気なのか、症状、原因、罹患率、生存率など基礎知識を紹介します。

肝臓がんとは

 肝臓は、右腹にあるヒトで最も大きな臓器です。主な働きは、体に必要なタンパク質の合成や栄養の貯蔵、有害物質の解毒や分解、食べ物の消化に必要な胆汁の分泌です。肝臓の細胞ががん化したものを「肝細胞がん」、肝臓内にある胆管の細胞ががん化したものを「肝内胆管がん」といい、治療法が異なります。

肝臓がんの症状

 肝臓は沈黙の臓器と呼ばれており、初期のがんではほとんど自覚症状がありません。肝細胞がんの進行に伴う慢性肝炎や肝硬変などの肝障害により、腹部のしこり、圧迫感、痛み、黄疸、貧血、倦怠感、食欲不振などさまざまな症状が起こります。

肝臓がんの原因

 肝細胞がんは、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの感染、および、生活習慣の影響が大きいと考えられています。国内の肝細胞がん患者さんの70%は、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの感染による慢性肝疾患から肝臓がんになった人です。ウイルス感染以外のリスク因子は、肝硬変、男性、高齢、アルコール摂取、喫煙、肥満、脂肪肝、糖尿病などです。

肝臓がんの罹患率と生存率

 国立がん研究センターのがん統計2018年によると、新たに肝臓がんと診断された人は、男性2万6,163人、女性1万2,148人で、男性に多く発症していました。2019年に肝臓がんで亡くなった人は、3万6,356人で、臓器別では男性5位、女性6位、男女合計で5位でした。

 2009年~2011年にがんと診断された人全体の5年相対生存率は、64.1%でした。また、肝臓がんの5年相対生存率は男性36.2%、女性35.1%でした。2002年~2006年に肝臓がんと診断された人の10年相対生存率は、男性9.6%、女性9.1%でした。

 進行度による5年相対生存率(2002~2006年診断)は、以下の通りです。

  • 限局:51.6%
  • 領域:15.4%
  • 遠隔:3.1%

 進行度による10年相対生存率(2002~2006年診断)は、以下の通りです。

  • 限局:男性15.0%/女性13.3%
  • 領域:男性3.6%/女性3.7%
  • 遠隔:男性0.6%/女性0.3%
  • 限局:原発臓器に限局している
  • 領域:所属リンパ節転移(原発臓器の所属リンパ節への転移を伴うが、隣接臓器への浸潤なし)または隣接臓器浸潤(隣接する臓器に直接浸潤しているが、遠隔転移なし)がある
  • 遠隔:遠隔臓器、遠隔リンパ節などに転移・浸潤がある

※原発巣と直結したリンパ経路をもつリンパ節の集まり

 参考文献:
一般社団法人日本肝臓学会 肝がん診療ガイドライン2021年版.金原出版
国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)
独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書

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