切除不能な肝細胞がん患者さん対象の臨床試験、全生存期間に関して結果発表

2018/06/20

文:がん+編集部

 肝細胞がんに対する臨床試験の解析結果が発表されました。ネクサバール投与後に病勢が進行した患者さんにスチバーガを投与したところ、全生存期間に関して臨床上、評価に値する結果だったそうです。

一次治療ネクサバール・二次治療スチバーガ投与 全生存期間の解析結果

 バイエル薬品株式会社は6月12日、第3相臨床試験RESORCE試験の新たな解析の結果、ソラフェニブ(製品名:ネクサバール)投与中に病勢進行が認められ、その後レゴラフェニブ(製品名:スチバーガ)を投与した肝細胞がん患者さんの全生存期間(OS)※1などの解析結果を発表しました。今回の解析から、ソラフェニブによる前治療中に認められた病勢進行の期間や最終投与量にかかわらず、レゴラフェニブが臨床上評価に値する結果をもたらしたことが示唆されたそうです。

 今回の解析の結果、進行肝細胞がん患者さんのソラフェニブ投与開始から亡くなるまでの期間の中央値は、ソラフェニブ投与後にプラセボ投与群が19.2か月、ソラフェニブ投与後にレゴラフェニブ投与群が26.0か月だったそうです。

 これまでに報告されている解析結果では、レゴラフェニブとベストサポーティブケア(BSC)※2併用群は、プラセボとBSC併用群と比較して、統計学的に有意なOSの延長を示しています。

 RESORCE試験に登録された全ての患者さんでは、進行肝細胞がんに対する一次標準治療であるソラフェニブの投与歴がありました。生存率は、次のように推定されたそうです。
・12か月後の推定生存率
レゴラフェニブ群が45%、プラセボ群が29%
・18か月経過時の推定生存率
レゴラフェニブ群が30%、プラセボ群が15%
・24か月経過時の推定生存率
レゴラフェニブ群が21%、プラセボ群が11%
・30か月経過時の推定生存率
レゴラフェニブ群が16%、プラセボ群が9%

※1 患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。
※2 がんへの積極的な治療を行わずに、症状緩和の治療のみを行うことです。