急性骨髄性白血病治療薬ベネトクラクス、米FDAに承認申請

2018/08/01

文:がん+編集部

 強力な化学療法が適応とならない初発の急性骨髄性白血病(AML)の治療薬が、米国食品医薬品局(FDA)に承認申請されました。米国では、慢性リンパ性白血病(CLL)や小リンパ球性リンパ腫(SLL)の治療薬として使用されており、日本での承認も期待されます。

米国では慢性リンパ性白血病または小リンパ球性リンパ腫の治療薬として承認

 米アッヴィ社は7月12日、ベネトクラクスとDNAメチル化阻害薬または低用量シタラビンの併用療法について、強力な化学療法が適応とならない初発の急性骨髄性白血病(AML)を適応として、米国食品医薬品局(FDA)に適応追加の承認申請を行ったことを発表しました。

 AMLは、骨髄で白血病細胞が異常増殖することで、正常な造血機能が阻害され、白血球や赤血球、血小板が減少を伴うさまざまな症状が起こる侵襲性の高い血液がんで、無治療のままだと急速に進行します。

 AMLの5年生存率は27%(NCI2018年データ)で、ほとんどのAML患者さんは3年以内に再発しますが、治療法がほとんどありません。しかし、60歳以上のAML患者さんのうち強力な寛解導入療法を受けられるのは約3分の1にすぎません。

 ベネトクラクスは、BCL-2というタンパク質を阻害することで、がん細胞が自然に細胞死(アポトーシス)する過程を回復する薬剤です。現在、米国では、染色体17p欠失の有無を問わず、1つ以上のレジメンの治療歴がある慢性リンパ性白血病(CLL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)患者さんの治療薬として承認されています。また、多発性骨髄腫(MM)非ホジキンリンパ腫(NHL)骨髄異形成症候群(MDS)などの血液がんに対する臨床試験が進められています。

 アッヴィの研究開発担当エグゼクティブ・バイスプレジデント兼最高科学責任者のMichael Severino医師は、「AMLは特に侵襲性が高く、死亡率の高い血液がんです。この30年間でほとんど治療は進歩しておらず、強力な化学療法が適応とならない患者さんに対する治療選択肢はほとんどありませんでした。今回FDAに提出したデータにより、AMLの治療法が変わることが期待されます」と述べています。