「日本MDS患者サポートグループ」骨髄異形成症候群の患者さんへ正しい情報を届けるために

山元さん
日本MDS患者サポートグループ 代表
東京血液疾患診療所 事務長 山元由美さん

2018.3 取材・文 がん+編集部

 骨髄異形成症候群(MDS)の患者さんを支援する日本MDS患者サポートグループ。病気に関する情報を集めにくい状況から、正しい情報を患者さんに届けるために電話相談や講演会での情報提供活動を行っています。MDSの治療施設である東京血液疾患診療所の事務長で、日本MDS患者サポートグループの代表である山元由美さんにお話をうかがいました。

医師と治療について話し合うため、患者も知識を身につけることが大切

 MDSは、赤血球、血小板、白血球といった血液細胞のもととなる造血幹細胞に異常が生じる病気で、症候群の名の通りその病態は多岐にわたります。造血幹細胞の異常によって正常な血液細胞が減ってしまい、貧血やめまい、白血球の異常で感染が起こりやすくなる、血小板の減少で血が止まりにくくなるなどの症状が現れます。症状はさまざまですが、その程度は患者さんによって違い、病気の進み方や治療の効果なども患者さんによって異なります。また、一部の患者さんでは、MDSが進行し、芽球という未熟で異常な細胞が増えて白血化する(急性骨髄性白血病(AML)と区別がつかない状態になる)場合もある極めて難治性の病気です。

 日本MDS患者サポートグループは、世界中のMDS研究者の集まりであり患者支援活動も行っている「International MDS Foundation」が、東京血液疾患診療所院長の緒方先生に対して「日本にもMDS患者さんを支援する団体を作って欲しい」という依頼したことをきっかけに、2011年に設立しました。緒方先生は、日本では数少ないMDSの専門家であり、国際的に評価の高い先生です。私たちは、国際MDS財団がサポートする患者サポートグループとして、世界で6番目の設立です。MDS Foundationからの依頼の背景には、日本の患者さんが正しい情報にたどり着くことが難しい状況があり、ある患者さんの家族の方がMDS Foundationに相談したことがきっかけでした。

 私は、患者さんが医師と対等に治療について話し合うためには、知識を身につけることが大切だと感じています。それは、私自身が乳がんを患った経験があるためです。また、私の父も甲状腺がんと前立腺がんを患っていたことからも、患者さんが十分な知識を持つことの必要性を強く感じました。自分が知りたいと思った情報を得るためには、日本の情報だけでは足りないと感じ、英語の医学論文など、日本以外の情報も得るために苦労をしました。このような経験もあり、日本MDS患者サポートグループでは、MDS患者さんに正しい情報を届けられるように活動をしています。

「MDSはどんな病気?」毎月の講演会で分かりやすく解説

 主な活動は、電話相談や講演会の運営です。電話相談は、月~土曜日の9:00~17:00の間で行っています。相談内容で最も多いのは、「MDSに関する情報を知りたい」というものです。まだまだ、医療従事者側にもMDSの知識が足りない部分があり、患者さんが情報を集めにくい状況だと思います。そのため、患者さんが治療を受けるうえでの意思決定を支援するために、随時相談を受け付けています。上海やオーストラリアといった、海外に住む日本人の方からもお電話があります。

GGN病変
MDS患者さん向けのヘルプマーク

 東京血液疾患診療所で毎月行っている講演会には、全国から患者さんが集まります。「MDSはどんな病気なのか?」、「どんな治療があるのか?」などを、患者さんに分かりやすく説明しています。ウェブサイトに、緒方先生の講演内容を動画として載せているものもあるので、遠方で講演会に参加できなかった患者さんにもぜひ見ていただきたいと思います。その他にも国際MDS財団が発行するハンドブックやニュースレターの翻訳、患者さんの体験談などもウェブサイトに掲載しています。

 また、MDS患者さん向けのヘルプマークも作成しました。ここに、ご自身の血液検査などの情報を入れておくことで、周囲の人々に配慮を必要としていることを知らせるだけでなく、万が一病院へ緊急搬送された場合などにも役立てらればと思っています。

全国の医療機関のMDS診察のレベル向上を目指す

 MDSは、検査で明確な判断要素が見られない場合も多く、診断が難しい病気です。また、確実な診断を受けた場合も、治療に関して十分な説明を受けられないこともあると聞きます。そのため、まずは多くの医師にMDSを正しく知ってもらうことが課題だと考えています。東京血液疾患診療所が中心となって、全国の医療機関のMDS診察のレベル向上も目指していきたいと考えています。

日本MDS患者サポートグループ 外部リンク

がん種
骨髄異形成症候群(MDS)
地域
全国
連絡先
TEL 080-4464-8571(山元さん携帯)、03-3425-2808(東京血液疾患診療所)
FAX 03-3425-2818(東京血液疾患診療所内)
電話相談
月~土 9:00~17:00
活動内容
MDS患者さんを支援するサポートグループです。病気に関する情報を集めにくい状況から、正しい情報を患者さんに届けるために電話相談や講演会での情報提供活動を行っています。