ラロトレクチニブ、部位を問わずNTRK遺伝子融合がある固形がんを対象に欧州で承認申請

文:がん+編集部

 NTRK遺伝子融合がある局所進行性または転移性の固形がんを対象に、ラロトレクチニブを欧州医薬品庁(EMA)に承認申請しました。現在、米FDAでも審査が進められており、承認が期待されます。

肺がん・乳がん・大腸がんなどさまざまながんでみられる遺伝子変異

 独バイエル社は8月27日、Larotrectinib(ラロトレクチニブ)について、神経栄養因子チロシンキナーゼ受容体(NTRK)遺伝子融合がある局所進行性または転移性の固形がんを対象に欧州医薬品庁(EMA)に承認申請したことを発表しました。

 NTRK遺伝子融合とは、トロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)融合タンパク質の産生が制御できなくなる遺伝情報の変化のことで、腫瘍増殖を引き起こします。TRK融合遺伝子に異常があると、肺がん乳がん大腸がんといったさまざまな部位にがんが発生します。また、成人・小児を問わず、乳腺分泌がん、唾液腺の乳腺相似分泌がん、乳児型線維肉腫といった、特定の希少腫瘍がある患者さんの60%以上が罹患している可能性があります。最近の研究結果からは、NTRK遺伝子が他の遺伝子と異常に融合することで、TRK融合タンパク質が産生され、体内のさまざまな場所で固形がんを生じることが示唆されています。 そのためラロトレクチニブは、特定の臓器や身体の特定の部位に対するがん種ではなく、NTRK遺伝子融合がある固形がんを対象としています。

 ラロトレクチニブは、このTRKを標的とした新薬で、独バイエル社と米ロクソ・オンコロジー社が共同開発しています。

 コペンハーゲン大学病院腫瘍科のウルリック・ラッセン医学博士は、「ラロトレクチニブは、がん腫を問わず、TRK融合を有する成人及び小児がん患者さんに対する優れた奏効が示されました。欧州での承認申請によって、現在は承認された治療法のない患者さんに、標的治療の選択肢を提供できる日が近づきました」とコメントしています。

 ラロトレクチニブは現在、米FDAでも審査が進められており、承認が期待されます。