DS-8201、HER2陽性の再発・転移性乳がん対象の2つの第3相臨床試験を開始

文:がん+編集部

 HER2陽性の再発・転移性乳がん患者さんを対象とした、DS-8201の2つの第3相臨床試験が始まり、第2相臨床試験では患者さんの登録が完了しました。DS-8201は、薬物による副作用を抑えつつ、がん細胞への攻撃力を高めた新しい薬剤です。

副作用を抑えつつ、がん細胞への攻撃力を高めた薬剤

 第一三共株式会社は9月26日、抗体薬物複合体(ADC)「DS-8201」(trastuzumab deruxtecan:トラスツズマブ デルクステカン)について、乳がん患者さんを対象とした2つの第3相臨床試験(DESTINY-Breast03試験、DESTINY-Breast02試験)で、患者さんへの投与を開始したと発表しました。また、乳がん患者さんを対象としたDS-8201の第2相臨床試験DESTINY-Breast01試験の患者登録が完了したことも発表しました。

 DS-8201は、HER2に対するADCです。ADCは、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体医薬を介して、薬物をがん細胞へ直接届けるため、薬物による副作用を抑えつつ、がん細胞への攻撃力を高めた薬剤です。

 HER2陽性の転移性乳がんの治療ガイドラインでは、一次治療としてトラスツズマブ(製品名:ハーセプチン)ペルツズマブ(製品名:パージェタ)等の併用療法を推奨しています。一次治療後に病勢進行となった場合の二次治療としては、抗HER2療法が推奨されています。この抗HER2療法は、「T-DM1」(トラスツズマブ エムタンシン(製品名:カドサイラ))のみです。そのため、T-DM1による治療後に病勢進行となった場合は、現在、限られた治療法しかありません。

 DESTINY-Breast03試験は、トラスツズマブ等の前治療を受けたHER2陽性の再発・転移性乳がん患者さんを対象とした第3相臨床試験で、DS-8201を投与する患者群とT-DM1を投与する患者群の安全性と有効性を比較評価します。日本、北米、欧州、アジアで約500名の患者さんを登録する予定です。

 DESTINY-Breast02試験は、T-DM1を含む前治療を受けたHER2陽性の再発・転移性乳がん患者さんを対象とした第3相臨床試験で、DS-8201を投与する患者群と治験医師が選択する薬を投与する患者群の安全性と有効性を比較評価します。日本、北米、南米、欧州、アジアで約600名の患者を登録する予定です。

 DESTINY-Breast01試験は、T-DM1を含む前治療を受けたHER2陽性の再発・転移性乳がん患者さんを対象とした第2相臨床試験です。日本、北米、欧州、アジアで約230名の患者登録を完了しました。

 DS-8201は、これらの臨床試験に加え、胃がん大腸がん非小細胞肺がん患者さんを対象とした臨床試験や他の薬剤との併用療法を検討する試験も進行中です。