レンビマ+キイトルーダ併用療法の治験、3つのがん種で有効性が示唆

2018/11/16

文:がん+編集部

  レンバチニブ(製品名:レンビマ)ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)の併用療法について、非小細胞肺がんメラノーマ尿路上皮がんに対する治験の中間解析の結果が発表されました。これらのがんに対して有望な抗腫瘍活性と良好な忍容性が示唆されました。

非小細胞肺がん、メラノーマ、尿路上皮がんで有望な臨床効果と安全性を確認

  エーザイ米メルク社は11月9日、レンバチニブとペムブロリズマブの併用療法の最新の研究成果として、臨床試験の中間解析結果を米国・ワシントンD.C.で開催される第33回がん免疫学会年次総会で報告をすると発表しました。

  111試験/KEYNOTE-146試験は、特定の6つの固形がんを対象としたバスケット型の第1b/2相の臨床試験です。バスケット型臨床試験は、がんの組織ではなく遺伝子変異の種類を重要視した試験で、標的となる遺伝子変異があれば、がん種を問わず登録できます。111試験/KEYNOTE-146試験では、非小細胞肺がん、メラノーマ、尿路上皮がん、子宮内膜がん頭頸部がん腎細胞がんが対象となっています。今回の研究成果の発表は、6つがん種のうち、転移性非小細胞肺がん、転移性メラノーマ、転移性尿路上皮がんの3つのがん種に対しての併用療法の中間解析です。3がん種に対する解析結果は以下の通りです。

 転移性非小細胞肺がん患者さんを対象とした解析では、レンバチニブを1日1回20mg、ペムブロリズマブを3週ごとに200mg投与した結果、主要評価項目である全奏効率※1は33.3%、副次評価項目の無増悪生存期間※2は、5.9か月だったそうです。グレード3の有害事象は48%。グレード4は5%で確認され、30%以上の高頻度で観察された有害事象は、食欲減退、疲労、甲状腺機能低下、下痢、蛋白尿、関節痛、高血圧でした。今回の中間解析の結果、PD-L1の発現状態に関わらず有望な臨床効果および安全性が確認され、転移性非小細胞肺がんに対する併用療法のさらなる評価が支持されることになりました。

 進行性メラノーマ患者さんを対象とした解析では、主要評価項目である全奏効率は47.6%、副次評価項目の無増悪生存期間は、5.5か月だったそうです。グレード3または4の有害事象は67%で確認され、30%以上の高頻度で観察された有害事象は、疲労、食欲減退、下痢、高血圧、発声困難、嘔吐、関節痛、蛋白尿でした。今回の中間解析の結果、転移性メラノーマに対して有望な臨床効果と安全性が確認されました。

 転移性尿路上皮がん患者さんを対象とした解析では、主要評価項目である全奏効率は25%、副次評価項目の無増悪生存期間は、5.4か月だったそうです。グレード3または4の有害事象は50%で確認され、30%以上の高頻度で観察された有害事象は、蛋白尿、下痢、高血圧、疲労、甲状腺機能低下でした。治験医師の評価による治療との関連が否定できない死亡例が1例認められています。今回の中間解析の結果、PD-L1の発現状態に関わらず転移性尿路上皮がんに対して有望な臨床効果と安全性が確認されました。

 エーザイの執行役オンコロジービジネスグループ チーフメディスンクリエーションオフィサーである大和隆志博士は、「今回新たに非小細胞肺がん、メラノーマおよび尿路上皮がんに対する臨床試験データを中間解析し、レンビマとキイトルーダとの併用療法の持つポテンシャルを引き続き検証できたことに自信を深めています」とコメントしています。

111試験/KEYNOTE-146試験

対象:非小細胞肺がん、腎細胞がん、子宮内膜がん、尿路上皮がん、頭頸部がん、メラノーマ
登録数:329
被験薬1:レンバチニブ
被験薬2:ペムブロリズマブ
主要評価項目:最大耐用量、全奏効率(24週)、用量規定毒性
副次的評価項目:無増悪生存期間、全生存率※3、奏功期間ほか

※1:治療によって、がんが消失または30%以上小さくなった患者さんの割合のことです。完全奏効(CR)(腫瘍が完全に消失)と、部分奏効(PR)(腫瘍が30%以上小さくなる)を足して、治療患者の総数で割ったものです。
※2:奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※3:患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。