「がんサポートコミュニティー」さまざまな悩みを抱えるがん患者さんへ、個々に合ったサポートを提供

大井賢一さん
認定NPO法人 がんサポートコミュニティー 事務局長/プログラムディレクター 大井賢一さん

2018.2 取材・文 星野美穂

 医師でありがん患者でもあった故・竹中文良博士が、がん患者さんへの心のケアの必要性を感じたことから立ち上げた「がんサポートコミュニティー」。がん患者さんが“同じ境遇にある患者さん”に出会えるサポートグループや、がん種ならではの悩みへの対応など、患者さんそれぞれに合わせたサポートを提供する活動を取材しました。

がん患者さんが“自分は一人じゃない”と気づく場に

 がんサポートコミュニティーは、看護師や臨床心理士、社会福祉士といった専門家によってがん患者さんとその家族をサポートする認定NPO法人です。創設者である故・竹中文良博士は、医師であり自身もがん患者でした。自身の大腸がん体験から、がん患者さんへの“心のケア”が必要だと感じ、2001年に立ち上げました。

 私たちは、多くのがん患者さんが抱える3つの悩みからの解放に取り組んでいます。1つ目は、「孤立感や孤独感から解き放つこと」です。治療の苦しみや再発への不安などを抱えるがん患者さんにとって、たとえ家族や友人であっても、がんを経験したことがない人は“自分とは違う人”になってしまいます。でも、ここにくることで、自分と同じ境遇の“仲間”と出会うことができ、「一人じゃない」と気づくことができます。

 2つ目は、「絶望感を希望に変えること」です。がんは、未だ死を意識せざるを得ない病気のひとつです。そこだけを見つめてしまうと、患者さんは絶望感に取り付かれてしまいます。でも、がんサポートコミュニティーでは、新たに参加する患者さんよりも厳しい状況の先輩患者さんが、明るい表情で出迎えてくれることがあります。そのような姿を目の当たりにすることで、「自分も頑張れるんじゃないか」と希望を見出すことができます。

 そして、3つ目は「がんの呪縛を解くこと」です。患者さんは、がんになった原因を「タバコを吸っていたせいだ」「お酒をたくさん飲んでいたせいだ」「肉をたくさん食べていたせいだ」などと考え、以前の自分を責めてしまうことがあります。しまいには、「お酒は全く飲まない」「肉は食べずに野菜しか食べない」といったように、生活を一変させてしまう患者さんもいます。「がんだから、これをやってはいけない、やらなくてはいけない」とがんの呪縛に囚われてしまう人もいます。でも、ここで会った先輩患者さんに、「最初はあなたと同じだった。でも今は肉も時々食べてるよ。お酒だって飲んでるよ」と言われたことで「自分らしい生活って何だったのかな?」と気づかされ、自分らしさを取り戻して、新たなスタートを切ることができます。

男性・女性スタッフそれぞれの対応で、がん種ならではの悩みも共有

 また、がん患者さんのサポートのために、さまざまなプログラムを実施しています。その大きな柱にサポートグループがあります。これは、同じような境遇の患者さんたちが看護師や臨床心理士といった専門家と共に語り合い、寄り添いあい、支えあう場です。サポートグループには、がんの部位別や性別ごと、就業の有無などによって、さまざまなグループがあります。患者さんによって、“出会いたい患者さん”はさまざまです。がんサポートコミュニティーには、さまざまな患者さんに出会える場と機会があります。

 また、男性の患者さんも多く、全参加者の4割が男性ということも特徴のひとつです。もちろん、スタッフも男性・女性それぞれいます。例えば、前立腺がんの患者さんで「男性に相談できて、良かった」と感想を述べられた方もいました。逆もあって、婦人科がんの患者さんで男性には相談しにくい悩みもあります。そういった、がん種や性別の違いならではの悩みを語り合うこともできます。

今後は、地域コミュニティの枠やがんの枠を超えた活動も

 現在、東京都がん対策推進協議会の委員や、核医学診療推進国民会議の副会長も務める中で、地域コミュニティや国のがん医療政策にも働きかけを行っています。また、首都圏でのがん患者支援活動から千葉県柏市や大阪府大阪市と、地域コミュニティの枠を超えて活動拠点も広げています。

 今後は、がんという枠を超えた活動も行っていく予定です。たとえば、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)は肺がんの要因となる可能性がある疾患ともいわれています。こういった呼吸器系の疾患をサポートする非営利団体との連携や、さらにこれらの疾患の要因となり得る受動喫煙や排気ガスなどの環境問題に取り組む非営利団体との協働を行うことで、結果的にがん予防にも繋げ、がんによって悩みを抱える人を少なくしていくためのプロジェクトも模索しています。このように、より良い社会をめざして活動を行なっていきたいと考えています。

認定NPO法人 がんサポートコミュニティー 外部リンク

がん種
全般
地域
東京都
連絡先
TEL 03-6809-1825(月~金 9:00~17:00)
info@csc-japan.org
活動内容
看護師や臨床心理士、社会福祉士といった専門家ががん患者さんとそのご家族の心理社会的なサポートを提供する認定NPO法人です。同じ境遇にある患者さんに出会える「サポートグループ」は、東京都以外に千葉県柏市、大阪府大阪市でも開催しています。

がん相談窓口

がん患者さん、そのご家族のための相談窓口です。がんについての疑問やお悩みについて、気軽にご相談ください。

  • どんな治療があるのか知りたい
  • セカンドオピニオンって何?
  • 仕事は続けても大丈夫?  …など
相談はこちらから