「アルファ・クラブ」胃を切った患者さんへ 後遺症克服のための支援

久本剛さん
胃を切った人 友の会 アルファ・クラブ事務局長 久本剛さん

2018.4 取材・文 がん+編集部

 胃を切った人 友の会 アルファ・クラブは、胃がんなどで胃を切除した患者さんに対して、後遺症克服のための情報を発信するなどして支援活動を行っています。事務局の久本剛さんと松田智子さんも、胃を切除しています。「患者さんが理解できるように伝えること」をモットーに支援する活動について、お話をうかがいました。

胃を切除した人の後遺症をケアする情報発信を、故・梅田幸雄氏の思いから

 胃を切った人 友の会 アルファ・クラブは、胃がんなどで胃を切除した患者さんが自らの努力と工夫で術後の後遺症を克服していくことを支援する患者会です。主に、胃切除後の後遺症に対する医師からのアドバイスや患者さんの体験記などを掲載した会報誌「ALPHA CLUB」の発行、胃切除経験者による電話相談対応、医師によるメール相談対応、勉強会などの運営などを行っています。

 アルファ・クラブは、1982年に故・梅田幸雄世話人代表(株式会社協和企画社長)が設立しました。梅田氏は胃がんによって60歳の時に胃を切除して、嘔吐や腹痛、便秘などさまざまな後遺症に苦しんだ結果、体重が82㎏から43㎏にまで減ってしまったといいます。当時、後遺症のケアに関する情報を見つけることは難しく、梅田氏も苦労したそうです。そこで、胃を切除した人の後遺症をケアする情報を発信していく必要があると感じ、1年かけて自ら全国の患者さんを取材。その取材内容をまとめて書籍『胃を切った人の養生学』を完成させました。後遺症に悩む患者さんに役立つ情報を伝えたいという思いで、今も情報発信を続けています。

電話・メール相談や勉強会を通じて、分かりやすく情報発信

久本剛さんと松田智子さん
久本剛さんと松田智子さん

 アルファ・クラブでは、胃切除経験者による電話相談や、医師へのメール相談を受け付けています。寄せられる相談はさまざまですが、食事に関する悩みはとても多いです。胃を切除してすぐのときは思うように食事をとれない患者さんが多く、一口、二口食べただけで吐いてしまう患者さんもいます。これは、手術前と同じような食べ方をするからです。少しでも多く食べてしまったり、よく噛まずに食べてしまったりすると、食直後から20~30分程度で、具合が悪くなる方もいます。電話相談で患者さんとお話していると、よく噛んで食べるなどの食べ方のポイントがよく分かってない患者さんが多いのだと感じます。

 そこで、最近は医師による患者さん向けの勉強会を始めました。「胃のはたらき」、「胃を切除することによる影響」、「後遺症」などのテーマに沿った講演です。基礎から分かりやすく教えてもらうことで、患者さんからも「よく理解できた」と言っていただいています。「胃を切除すると、どのような状態になるのか?」ということが分かって初めて、食べ方のポイントなども一緒に理解できるのだと思います。

正しく筋肉をつけるための体操教室も

 電話やメールでの相談や勉強会の他にも、さまざまな活動を行っています。例えば、患者さんに正しく筋トレを知ってもらうために、体操教室を開催しています。胃を切った患者さんは、筋肉をつけることも大切なので、専門の先生をお呼びして基本から教えてもらいます。多数の患者さんが参加されています。

 今まで自己流で筋トレを行っていたという患者さんでも、正しくないやり方で行っている方が多いようです。体操教室では、専門家の先生に正しい身体の動かし方を教えてもらい、タンパク質などの栄養の取り方も一緒に教えてもらいます。筋トレについては身体のどこをどう動かすかという基本的なことから教えてもらい、栄養の取り方については自分の栄養分がどれだけ取り入れられているかを計算する方法などを教えてもらいます。そのため、先生に教えてもらったやり方で筋トレと栄養の取り方を継続した結果、「2か月もしないうちに体力がついてきた」と喜んでいた患者さんもいます。

 今後も、患者さんが悩んでいることや情報が欲しいと思うことに対してさまざまな方法で情報を発信していきたいと考えています。ただ、一度に全てを理解できる患者さんは多くないので、時間をかけてでも、患者さんが理解できるまで説明していくことも大切だと感じています。「患者さんが理解できるように伝える」ということを心がけて、患者さんに寄り添う活動を行っていきます。

胃を切った人 友の会 アルファ・クラブ 外部リンク

がん種
胃がん
地域
全国
連絡先
TEL 03-6550-8118(月~金 10:00~16:00 祝日除く)
Mail  alpha.club.jimukyoku@gmail.com
活動内容
胃を切った人 友の会 アルファ・クラブは、胃がんなどで胃を切除した患者さんに対して会報やwebサイト、勉強会などを通じて支援活動を行っています。