“メークの力”をプラスして、自分らしい、前向きな人生を
がん治療中の患者さんの悩みの1つに、脱毛や肌色の変化など、外見の変化の悩みがあります。がんプラス会員からも「鏡を見て、自分じゃないような気がしてショックを受けた」「肌色が気になってしまう」といった声を聞きます。治療の副作用による外見の変化に悩む患者さんを、前向きな気持ちへ導くお手伝いをするメークがカバーメーキャップです。
今回、治療の副作用による外見変化へのカバーメーキャップを紹介している株式会社 資生堂の協力のもと、2人の患者さんに、東京・銀座にある資生堂 ライフクオリティー ビューティーセンターで、カバーメーキャップを体験していただきました。同センターのMakeup Carist(メーキャップ・ケアリスト)の苅部裕己さんにメーキャップのコツを教えていただき、練習を通じて患者さんにメークのテクニックを身につけてもらいました。
- » 体験レポート1
気になる肌の“シミ” カバーするポイントは? - » 体験レポート2
眉毛やまつ毛の脱毛 描く際のコツは?
体験レポート1気になる肌の“シミ” カバーするポイントは?
体験者松本 亜紀さん
乳がん患者の松本さんの悩みは、目の周りからほおにかけての“シミ”。治療を続けるなかで、“シミ”が濃くなったと感じるようになりました。下地~ファンデーションまで、4種類の化粧品を使用している松本さんですが、「上手くカバーできている実感がない」とのこと。最近は肌の乾燥も気になっているそうです。
メーキャップ前のていねいな保湿&下地で「乾燥知らず」に!
保湿力の高い化粧水と乳液で肌を整えていきましょう。乾燥が気になる部分へは、乳液を重ねてつけても良いかもしれません。下地でも保湿をしっかり行いましょう。
ファンデーションはいつでも「優しさ」が決め手
ファンデーションはスポンジを使って、ほおから、優しく“トントン”とつけます。力が強いと、つけたファンデーションが薄れます。優しくつけることがポイントです。次に、部分用ファンデーションの「パーフェクトカバー ファンデーション MV」をシミが気になる部分につけて、指で優しくなじませます。ムラになった場合は、ファンデーションがついていない指を使ってなじませましょう。そして最後に、フェースパウダー(おしろい)をパフにとり、優しくおさえるようにして肌を仕上げます。
チークはほお骨に沿うように少しずつ色をのせて
「チークが苦手」という松本さん。ブラシにチークをとった後に、一度ティッシュで色の発色を確認してから、少しずつほおに乗せていくと失敗しにくいです。鼻先から耳の中央をつないだ真ん中あたりを起点に色をのせていきます。色が濃いと感じたら、パウダーファンデーションで少しおさえましょう。
体験レポート2眉毛やまつ毛の脱毛 描く際のコツは?
体験者椿 若菜さん
乳がんの治療に伴い、髪の毛や眉・まつ毛が脱毛した椿さん。きれいな二重まぶたですが、まつ毛の脱毛で目がぼんやりした印象になったと感じているそう。メークには少し苦手意識があり、治療の副作用で手にしびれもあるので、とくにアイラインを引くことを難しく感じているとのことです。今回は、脱毛部分を自然に見せるメークのコツを知りたいという思いで、体験に参加されました。
まずは、眉頭・眉山・眉尻の3点の確認から。短い線を描くイメージで
椿さんは、眉毛のうぶ毛が生えてきている段階なので、そこを生かして描いていきましょう。まず、眉頭・眉山・眉尻の3点を確認し印をつけます。短い線を描き足していくイメージで描くと、自然に見えます。
ペンシルタイプとパウダータイプの組み合わせで、より自然に
パウダータイプのアイブローを使用するときも、少しずつ眉毛を描き足すイメージで色をのせるように仕上げてみましょう。黒目の真上あたりの眉をやや濃い目に描くことで、目もとがはっきりした印象になります。眉頭は色をソフトに仕上げると、優しい印象に。失敗したときは、アイブローブラシや綿棒などで優しくぼかしていきましょう。
アイラインは黒目の横幅にあわせたまぶたの上下部分のみでもOK
アイラインは、まず、黒目の横幅にあわせて描いてみましょう。黒目の真上の上まぶたと真下の下まぶた部分のみ描いてみると簡単です。上まぶたは反対側の手を使って、目尻あたりにやさしく指を添えて描くと描きやすいです。下まぶたも同様に描きましょう。仕上げには、アイシャドーを。まぶたの中心から全体につけていきましょう。
メークを終えて~椿さんより~
カバーメーキャップ体験を通じて、眉の描き方や、アイラインの引き方など、ちょっとしたテクニックで印象が変わるんだなと実感しています。苦手だったアイラインも、黒目に合わせて少し引いてみるだけで目もとがはっきり見えることを知り、嬉しくなりました。早速、普段のメークにも取り入れてみようと思います。
脱毛によって眉毛やまつ毛がなくなってしまうことは、女性として辛いことです。例えば、お出かけしたいと思っても、周りの人に「あの人は病気なのかな?」と思われるんじゃないかと考えてしまうなど、不安は尽きません。だけど、これからは、今日教えていただいたメークのコツを取り入れて、お出かけしてみようと思います。
乳がんになりましたが、外見については「普通でいたい」という思いがあります。普段から会う機会の多いママ友などに、これからメークをして会うのが楽しみです!
今回のカバーメーキャップ体験を通じて、2人とも、自分を表現する楽しさやワクワクする気持ちを実感されたようです。がん治療を続けるなかで、くじけそうになる日や、不安で押しつぶされそうな日もあるかもしれません。そんなときは、ぜひメークの力を使ってみてください。今回ご紹介したメークのポイントが、自分らしく前向きな気持ちに近づくきっかけになればと思います。
資生堂 ライフクオリティー ビューティーセンター
Makeup Carist
苅部 裕己(かりべ ひろみ)さん
今回参加いただいたお二人の笑顔に触れ、あらためてカバーメーキャップをお伝えする事の必要性を実感しました。これからも多くの方へアドバイスを行っていきます。
あざや白斑、肌の凹凸(傷あとなど)、がん治療の副作用による外見上の変化など、肌のさまざまなお悩みに対しMakeup Caristが一人ひとりに合わせたカバー方法をアドバイスします。また、全国のパーフェクトカバー取扱店でもアドバイスを行っています。
詳細はコチラ
メークを終えて~松本さんより~
今までは、鏡を見るたびにシミに目がいってしまっていました。しかも、隠そうとすればするほど、シミが目立ってしまうような気がして、困っていたんです。シミを隠したいという思いが強くなりすぎて、いつの間にか「メーク=隠すこと」という思いが強くなっていたのだと思います。だけど、今回のカバーメーキャップ体験を通じて、「メーク=自分を表現すること」なんだなと感じました。
また、「シミを隠したい」という気持ちから、ファンデーションは強くつけていたのですが、それが逆にとれやすい原因だということにびっくりしました。これからは、優しくつけることを意識しようと思います。
以前は、シミが気になって、外に出るのも億劫に感じてしまうこともありました。でも、メークを通じてワクワクする気持ちを思い出しました。これからは、シミを隠すことだけでなく、チークをつけてみたり、アイシャドーの色を楽しんだりしながら、メークしていきたいです。そして、メークをきっかけに、少しずつ色々なことにチャレンジしていきたいと思います。