初発治療
初発辺縁帯リンパ腫の治療選択
辺縁帯リンパ腫と診断された場合は、治療選択のために、まず分類が行われます。最初に、節外性辺縁帯リンパ腫、節性辺縁帯リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫のどのタイプなのかの分類が行われます。
節外性辺縁帯リンパ腫と診断された場合は、さらに「限局期胃」「限局期胃以外」「進行期」の3つの分類のどれに当てはまるのかの確認が行われます。
節性辺縁帯リンパ腫の診断のためには、粘膜関連のリンパ組織に病変がないかが確認されます。ステージ1~2の場合は限局期、ステージ3~4の場合は進行期と診断されます。
節性辺縁帯リンパ腫と診断された場合は、「限局期」と「進行期」のどちらかに分類されます。
初発限局性胃節外性辺縁帯リンパ腫の治療選択
限局性胃節外性辺縁帯リンパ腫と診断された場合は、ヘリコバクター・ピロリ菌の検査が行われ、陽性の場合は除菌が行われます。除菌により腫瘍が縮小した場合は、無治療経過観察となります。初回の除菌が不成功となった場合は二次除菌が行われ、成功した場合は無治療経過観察、不成功となり腫瘍が縮小しない場合は局所放射線治療が行われます。局所放射線治療が適応とならない場合は、リツキシマブ単剤、リツキシマブ+化学療法、無治療経過観察のいずれかが、病態に応じて選択されます。
ヘリコバクター・ピロリ菌陰性と診断された場合は、局所放射線治療が行われます。局所放射線治療が適応とならない場合は、リツキシマブ単剤、リツキシマブ+化学療法、ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌、無治療経過観察のいずれかが、病態に応じて選択されます。
初発辺縁帯リンパ腫(限局期胃節外性辺縁帯リンパ腫を除く)の治療選択
限局期胃節外性辺縁帯リンパ腫を除く辺縁帯リンパ腫と診断された場合は、限局期と進行で治療選択が異なります。
限局期でステージ1もしくは病変が連続している場合は、局所放射線治療もしくは手術が行われます。放射線治療や手術が適応とならない場合は、リツキシマブ単剤、リツキシマブ+化学療法、無治療経過観察のいずれかが、病態に応じて選択されます。治療により、完全奏効または部分奏効が得られた場合は、無治療経過観察となります。
病変が連続していないステージ2の場合は、リツキシマブ単剤、リツキシマブ+化学療法、無治療経過観察のいずれかが、病態に応じて選択されます。完全奏効が得られた場合は、無治療経過観察、部分奏効の場合は、無治療経過観察、残存病変への局所放射線治療のいずれかが病態に応じて選択されます、
進行期と診断され場合は、症状(血球減少、臓器霜害、巨大腫瘍および急速な進行)がなければ無治療経過観察となります。症状がある場合は、臨床試験への参加、リツキシマブ単剤、リツキシマブ+化学療法のいずれかが病態に応じて検討されます。
初発脾辺縁帯リンパ腫の治療選択
脾辺縁帯リンパ腫では、脾腫による腹部症状あるいは血球減少がある場合とない場合で治療選択が異なります。
症状あるいは血球減少がありC型肝炎ウイルス陽性と診断された場合は、抗ウイルス療法が行われ、腫瘍が縮小すれば無治療経過観察、腫瘍が縮小しない場合は、リツキシマブ単剤もしくは脾臓の摘出手術が行われます。C型肝炎ウイルス陰性の場合は、リツキシマブ単剤もしくは脾臓の摘出手術が行われます。
症状あるいは血球減少がない場合は、無治療経過観察となります。
参考文献:一般社団法人日本血液学会編. 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版.金原出版