基礎知識
辺縁帯リンパ腫とは
リンパ節にある球状の部分をリンパ濾胞といい、その外側にある一部の部分を辺縁帯といいます。リンパ節濾胞の中心部ではB細胞が増殖しますが、辺縁帯でB細胞ががん化したリンパ腫を辺緑帯リンパ腫といいます。
辺縁帯リンパ腫は、悪性リンパ腫のうち非ホジキンリンパ腫の1つで、低悪性度の成熟B細胞腫瘍に分類されます。また、脾臓に発生する「脾辺縁帯リンパ腫」、リンパ節に発生する「節性辺縁帯リンパ腫」、リンパ節以外に発生する「節外性辺縁帯リンパ腫・粘膜関連リンパ組織型節外性辺縁帯リンパ腫(MALTリンパ腫)」の3つの病型に分類されます。さらに、節外性辺縁帯リンパ腫は、胃に発生する「胃MALTリンパ腫」と胃以外の節外に発生する「胃以外MALTリンパ腫」に分類されます。
辺縁帯リンパ腫は、悪性リンパ腫の中でも発生頻度は低く高齢者に多い傾向があります。
辺縁帯リンパ腫の罹患数と生存率
米国の疫学調査では、10万人あたりの罹患数は節外性辺縁帯リンパ腫1.59人、節性辺縁帯リンパ腫0.83人、脾辺縁帯リンパ腫0.25人でした。
また、それぞれの10年生存率は、節外性辺縁帯リンパ腫84.7%、節性辺縁帯リンパ腫67.3%、脾辺縁帯リンパ腫62.7%でした。
辺縁帯リンパ腫の特徴と症状
節外性辺縁帯リンパ腫は、粘膜関連のリンパ組織から発生しますが、最も発生頻度が高いのが胃で、その他、眼付属器、小腸、大腸、肺、唾液腺、甲状腺、乳腺などからも発生すことがあります。唾液腺、甲状腺を除く節外性辺縁帯リンパ腫は、男性に多い傾向があります。
辺緑帯リンパ腫の多くは、痛みを伴わず、発熱、体重減少、大量の寝汗といった症状(B症状)があらわれることがあります。
参考文献:一般社団法人日本血液学会編. 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版.金原出版