基礎知識
節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型とは
血液細胞は、元は「造血幹細胞」という1つの同じ細胞から作られ、骨髄系とリンパ系の2種類に分化します。骨髄系は赤血球、血小板、顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)、単球に分化し、リンパ系はB細胞、T細胞、NK細胞などのリンパ球に分化します。血液がんは、この血液細胞の分化と成熟の過程でがん化が生じ、異常な細胞が増殖して発症する病気です。分化のどの過程で異常が起こるかで、血液がんの種類が異なります。
節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型は、リンパ系細胞から分化したNK細胞やT細胞ががん化した悪性リンパ腫のうち非ホジキンリンパ腫の1つで、中悪性度の成熟T細胞およびNK細胞腫瘍に分類されます。
節外性NK/T細胞リンパ腫のほとんどは、NK細胞由来のリンパ腫で、鼻腔とその周辺の原発例では、T細胞由来のリンパ腫も少数存在するためNK/T細胞リンパ腫と表記されます。
節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型の特徴と症状
節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型は、ほとんどの患者さんでは腫瘍細胞内にEBウイルスが感染しており、発症などに関係しているといわれています。
節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型の多くは、鼻腔や副鼻腔に発生します。鼻腔に病変がある場合は、鼻づまり、鼻水、鼻血、鼻の腫れ、口腔内の潰瘍、のどの痛みなどの症状が起こります。眼窩に病変がある場合は、目を開けにくいなどの症状がでることがあります。
また、原因不明の発熱として「血球貪食症候群」を起こすことがあります。血球貪食症候群は、血液細胞が活性化したマクロファージに貪食されることで、貧血、白血球減少、血小板減少が起こったり、肝機能や腎機能が悪くなったりするなどして重傷化することもある合併症です。
参考文献:一般社団法人日本血液学会編. 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版.金原出版