進行期治療
※これは一般的な情報です。患者さん個々の病態や治療法は異なるため、不明な点は必ず主治医にご確認ください。
進行期節外性NK/T細胞リンパ腫の治療選択
進行期(ステージ3または4)の節外性NK/T細胞リンパ腫と診断された場合、あるいは鼻腔周辺以外の部位に病変が限局していると診断された場合の治療について説明します。
進行期節外性NK/T細胞リンパ腫の初回治療
進行期の初発治療では、L-アスパラギナーゼという薬剤を含む化学療法が考慮されます。その中でも、SMILE療法(2~6コース)が効果の期待できる主要な治療法の一つとされています。
SMILE療法は、多剤耐性に関わるP糖タンパク質の影響を受けにくい薬剤を主体とする多剤併用化学療法で、デキサメタゾン、メトトレキサート、イホスファミド、L-アスパラギナーゼ、エトポシドが併用されます。
臨床試験では、この治療法が既存の治療と比較して、高い完全奏効(がんの完全消失)割合や生存率を示すことが確認されています。
治療後の地固め療法・その後の選択肢
完全奏効が得られた場合
SMILE療法などの初回治療により、がんが完全に消失した(完全奏効)と判断された場合は、患者さんの状態や予後因子などを考慮し、以下のいずれかが選択肢となります。
- 自家造血幹細胞移植併用大量化学療法
- 同種造血幹細胞移植
- 臨床試験
- 経過観察
部分奏効以下であった場合
がんが部分的にしか消失しない(部分奏効)か、効果が不十分であった場合は、まず救援療法が行われます。年齢や全身状態に問題がなければ、救援療法後に地固め療法として自家造血幹細胞移植または同種造血幹細胞移植が検討されます。
自家造血幹細胞移植や同種造血幹細胞移植が適用できない患者さんの場合は、病状に応じて、救援療法、緩和的化学療法・緩和的放射線治療、臨床試験、または緩和ケアのいずれかが選択されます。
造血幹細胞移植について
治療の選択肢の一つである造血幹細胞移植は、大量の抗がん剤治療(大量化学療法)で失われた血液の細胞(造血幹細胞)を補う治療法です。
自家造血幹細胞移植
あらかじめ患者さん自身の造血幹細胞を採取・凍結保存しておき、大量化学療法後に体内に戻す(移植する)方法です。通常は、薬(G-CSF製剤)を注射して骨髄から造血幹細胞を血中に出るよう誘発してから採取します。
同種造血幹細胞移植
白血球の型が一致したドナー(他人)から提供された正常な造血幹細胞を患者さんに移植し、血液を作る細胞を入れ替える治療法です。
- 本情報は一般的な概要であり、個々の患者さんの状態によって最適な治療法は異なります。
- 治療方針は、必ず専門の医師と最新の診療ガイドラインに基づいて決定されます。ご不明な点は、主治医にご確認ください。

