ロンサーフ 胃がんで生存期間、大腸がんで無増悪生存期間をそれぞれ延長
2018/06/28
文:がん+編集部
ロンサーフの切除不能な胃がん患者さんを対象とした第3相臨床試験の結果の詳細が発表されました。全生存期間や1年全生存率の延長が示されたそうです。また、進行・再発の結腸直腸がんに関する第2相臨床試験結果も発表されました。標準療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)を延長したそうです。
ロンサーフ 胃がんと大腸がんに対する2つの臨床試験の結果を発表
大鵬薬品工業株式会社と仏セルヴィエ社は6月25日、トリフルリジン・チピラシル塩酸塩(セイン品名:ロンサーフ配合錠T15・T20)について、切除不能な胃がん患者さん対象の第3相臨床試験TAGS試験と進行・再発の結腸直腸がん患者さん対象の第2相臨床試験TASCO-1試験結果を発表しました。
切除不能な胃がん患者さんの全生存期間を延長
TAGS試験は、標準治療が効かなくなった既治療の切除不能な胃がん患者さんを対象に、トリフルリジン・チピラシル塩酸塩とプラセボを比較して、有効性と安全性を検証した試験です。
試験の結果、主要評価項目の全生存期間(OS)※1の中央値は、トリフルリジン・チピラシル塩酸塩投与群で5.7か月、プラセボ投与群で3.6か月でした。また、1年全生存率はトリフルリジン・チピラシル塩酸塩投与群で21%、プラセボ投与群で13%でした。
主な副次評価項目の無増悪生存期間(PFS)※2について、トリフルリジン・チピラシル塩酸塩は、病状がさらに悪くなるリスクを43%減少させたそうです。安全性に関わる新たな所見は、観察されなかったとしています。
胃がんは、進行すると多くの合併症を併発するため、使用できる薬剤が制限される場合があります。そのため、切除不能な胃がんに対する、治療後期での生存期間延長や症状緩和が可能な新たな治療選択肢が求められています。現在、切除不能な胃がんの3次標準治療として、日本では免疫チェックポイント阻害剤のニボルマブ(製品名:オプジーボ)とイリノテカンが推奨されています。
進行・再発の結腸直腸がん患者さん無増悪生存期間を延長
TASCO-1試験は、強力な化学療法が適さない未治療の進行・再発の結腸直腸がん患者さんを対象に、標準療法(カペシタビン(製品名:ゼローダ)とベバシズマブ(製品名:アバスチン)の併用療法)に対するトリフルリジン・チピラシル塩酸塩とベバシズマブの併用療法の有効性を検証した試験です。
試験の結果、主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)の中央値は、トリフルリジン・チピラシル塩酸塩投与群が9.2か月、標準療法群が7.8か月でした。トリフルリジン・チピラシル塩酸塩投与群の忍容性※3は良好だったそうです。
進行・再発の結腸直腸がんの5年生存率は約11%とされ、新たな治療法の開発が望まれています。現在、進行・再発の結腸直腸がんの標準療法には、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカンのほか、VEGF・EGFRなどを標的とする分子標的治療薬による治療などがあります。
※1 患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。
※2 奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※3 薬による有害事象(副作用)に、どのくらい耐えられるかの程度を認容性といい、有害事象に十分耐えられるときは「忍容性が高い」、耐えられないときは「忍容性が低い」と表現されます。