高リスク皮膚有棘細胞がんに対するセミプリマブの治験

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治験名

高リスク皮膚有棘細胞がん患者を対象に、手術および放射線療法後のセミプリマブによる補助療法とプラセボとを比較する無作為化、プラセボ対照、二重盲検試験

治験概要:

高リスク皮膚有棘細胞がんに対する治験。手術および放射線治療を受けた患者さんが対象です。
セミプリマブとプラセボを比較して、有効性と安全性で評価する臨床試験です。
登録予定数は、412人。
フェーズは、第3相臨床試験。
試験デザインは、ランダム化、プラセボ対照、二重盲検。
試験群:セミプリマブ
対照群:プラセボ
無病生存率、全生存期間、有害事象発現率、有害事象重症度、死亡率などで評価します。

疾患解説:有棘細胞がん

国立がん研究センターのがん統計によると2017年に皮膚がんに罹患した人は、約1600人です。有棘細胞がんは、日本人に多くみられる皮膚がんの1つで、表皮の中間層にある有棘層の細胞ががん化した悪性腫瘍です。
有棘細胞がんの原因として、最も考えられるのが紫外線です。短期間に浴びる大量の紫外線はもちろん、長年の蓄積の影響でも発生する可能性があります。また、子宮頸がんの発症原因として知られるヒトパピローマウイルス(HPV)も原因の1つとされています。そのほか、やけどや外傷、おでき、皮膚潰瘍、長期の褥瘡、放射線治療後の慢性放射線皮膚炎なども原因となります。主な症状は、発生部位や原因によって異なります。
有棘細胞がんの特徴は、大きくて不揃いな紅色をしており、盛り上がったかたまりが崩れたような形をしています。大きくなるとカリフラワーのように見えます。

治験薬:セミプリマブ

セミプリマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 病理検査で確定診断された皮膚有棘細胞がんの切除、および全ての肉眼的病変の切除を受けた患者
  • 高リスク皮膚有棘細胞がん患者
  • 無作為化前2~6週間以内に治癒目的の術後放射線治療を完了した患者
  • 全身状態(Performance Status:PS)が1以下の患者
  • 十分な肝機能、腎機能、骨髄機能がある患者
  • 年齢:21歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 皮膚以外の部位の扁平上皮がんがある患者
  • 限局性皮膚有棘細胞がん以外の悪性腫瘍の併存および/または無作為化前3年以内に限局性皮膚有棘細胞がん以外の悪性腫瘍の既往歴がある患者
  • 血液学的悪性疾患の患者
  • 皮膚有棘細胞がんの遠隔転移歴のある患者。ただし、無病期間が3年以上の場合を除く
  • 免疫関連有害事象のリスクを示唆すると考えられる、全身性免疫抑制療法を要する重大な自己免疫疾患の所見が継続している、または最近認められる患者。以下は除外事項ではない:尋常性白斑、治癒した小児期喘息、1型糖尿病、ホルモン補充のみを要する残存甲状腺機能低下症、または全身治療を必要としない乾癬
  • 皮膚有棘細胞がんに対する全身性の抗がん免疫治療の治療歴がある患者

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。

ECOG パフォーマンスステータス


PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない100正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする70自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある40動けず、適切な医療および看護が必要
30全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10死期が切迫している
0

WHO パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
0全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。
※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。

試験概要詳細

試験の名称高リスク皮膚有棘細胞癌患者を対象に、手術及び放射線療法後のCEMIPLIMABによる補助療法とプラセボとを比較する無作為化、プラセボ対照、二重盲検試験
試験の概要本治験の主要目的は、手術及び放射線療法(RT)後にcemiplimabによる補助療法又はプラセボ投与を受けた高リスク皮膚有棘細胞癌(CSCC)の被験者の無病生存期間(DFS)を比較することである
本治験の副次目的は以下の通りである
手術及びRT後にcemiplimabによる補助療法又はプラセボ投与を受けた高リスクCSCCの被験者の全生存期間(OS)を比較すること
被験者の手術及びRT後の局所領域再発までの期間(FFLRR)に対するcemiplimabによる補助療法とプラセボの効果を比較すること
被験者の手術及びRT後の遠隔再発までの期間(FFDR)に対するcemiplimabによる補助療法とプラセボの効果を比較すること
手術及びRT後の二次性の原発性皮膚有棘細胞癌(SPT)の累積発現率に対するcemiplimabによる補助療法とプラセボの効果を比較すること
手術及びRT後の高リスクCSCCの被験者におけるcemiplimabによる補助療法とプラセボの安全性を評価すること
疾患名皮膚有棘細胞癌
試験薬剤名Cemiplimab
用法・用量30分かけて静脈内(IV)投与する
対照薬剤名プラセボ
用法・用量30分かけてIV投与する
試験のフェーズフェーズ3/phase3
試験のデザインランダム化
プラセボ対照
二重盲検
目標症例数412
適格基準
  • 成人男女[日本では21歳以上]
  • 病理検査で確定診断されたCSCC(原発CSCCのみ、原発CSCCとリンパ節転移、又は流入領域リンパ節内の治療済みの既知の原発CSCCによるリンパ節転移)の切除、及び全ての肉眼的病変の切除を受けた患者
  • 治験実施計画書により定義される、高リスクCSCC患者
  • 無作為化前2~6週間以内に治癒目的の術後RTを完了した患者
  • 米国東海岸癌臨床試験グループ パフォーマンスステータス(ECOG PS)が1以下の患者
  • 治験実施計画書に定義される十分な肝機能、腎機能、骨髄機能を有する患者
  • 年齢:21歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 治験実施計画書に定義される皮膚以外の部位の扁平上皮癌を有する患者
  • 治験実施計画書に定義される限局性CSCC以外の悪性腫瘍の併存及び/又は無作為化前3年以内に限局性CSCC以外の悪性腫瘍の既往歴がある患者
  • 血液学的悪性疾患(例:慢性リンパ性白血病)の患者
  • CSCCの遠隔転移(臓器又は遠隔リンパ節)歴のある患者。ただし、無病期間が3年以上の場合を除く(登録前に切除され放射線照射を受けた流入領域の所属リンパ節転移は、除外しない)
  • 免疫関連有害事象(irAE)のリスクを示唆すると考えられる、全身性免疫抑制療法を要する重大な自己免疫疾患の所見が継続している、又は最近(無作為化前5年以内)認められる患者。以下は除外事項ではない:尋常性白斑、治癒した小児期喘息、1型糖尿病、ホルモン補充のみを要する残存甲状腺機能低下症、又は全身治療を必要としない乾癬
  • CSCCに対する全身性の抗癌免疫治療の治療歴がある患者
  • 注:他の選択/除外基準の設定もあり
主要な評価項目有効性/efficacy
主要な評価方法 DFSは無作為化の時点から疾患の再発(局所、領域及び/又は遠隔)の最初の記録又は死因を問わない死亡までの期間と定義する。【評価期間:最長54ヵ月】
腫瘍の再発又は死亡に至っていない患者のDFSの打ち切り日は、疾患の最終評価日とする
副次的な評価項目有効性/efficacy
副次的な評価方法OSは無作為化の時点から死亡日までと定義する。死亡していない被験者の打ち切り日は、生存が判明している最後の日とする。【評価期間:最長78ヵ月】
副次的な評価項目有効性/efficacy
副次的な評価方法FFLRRは無作為化の時点から局所領域再発(LRR)が最初に認められた日までと定義する。LRRが認められないまま死亡した被験者のデータ打ち切り日は、死亡日とする。【評価期間:最長54ヵ月】
LRRが認められず死亡していない被験者のFFLRRの打ち切り日は、疾患の最終評価日とする
副次的な評価項目有効性/efficacy
副次的な評価方法FFDRは無作為化の時点から遠隔再発(DR)が最初に認められた日までと定義する。DRが認められないまま死亡した被験者のデータ打ち切り日は、死亡日とする。【評価期間:最長54ヵ月】
DRが認められず死亡していない被験者のFFDRの打ち切り日は、疾患の最終評価日とする
副次的な評価項目有効性/efficacy
副次的な評価方法各被験者における、無作為化から主要評価項目の最初の事象の発生又は治験終了までのSPTの累積発現件数
【評価期間:最長54ヵ月】
副次的な評価項目安全性/safety
副次的な評価方法治験薬投与下で発現した有害事象(TEAE)の発現率と重症度
【評価期間:最長78ヵ月】
副次的な評価項目安全性/safety
副次的な評価方法死亡率
【評価期間:最長78ヵ月】
副次的な評価項目安全性/safety
副次的な評価方法臨床検査値異常の発現率
【評価期間:最長78ヵ月】
予定試験期間2019年12月4日~2026年6月30日

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより