がんのリンパ節転移を迅速に検出する検査システムを発売

2018/05/18

文:がん+編集部

 がんのリンパ節転移を迅速に検出する検査システムが7月に発売されます。乳がん、大腸がんまたは胃がんのリンパ節転移の診断補助として使用され、患者さんの負担軽減や測定時間の短縮が期待されます。

乳がん、大腸がん、胃がんのリンパ節転移の診断補助として

GGN病変
画像はリリースより

 シスメックス株式会社は5月10日、同社が独自に開発したOSNA法を用いて、がんのリンパ節転移 を迅速に検出するがんリンパ節転移検査システムの新製品「遺伝子増幅検出装置 RD-200」と遺伝子増幅検出試薬「リノアンCK19」を7月に発売することを発表しました。乳がん大腸がんまたは胃がんのリンパ節転移の診断補助として使用されます。

 リンパ節転移があるかどうかの正確な診断を補助するリンパ節転移検査は、がんの治療において、術式選択などの治療方針を決定する上で重要です。リンパ節転移検査は、通常、手術で取り出したリンパ節の切片を用いて病理標本を作製し、病理医が術中または術後に顕微鏡でがん細胞があるかどうかを確認することで判定(病理組織学的検査)されます。しかし、標本作製での作業負担が発生すること、また標本の質が作製者の技量に依存することや、病理医により標本の判定精度が異なることなどが課題となっていました。

 乳がん治療では、手術中にリンパ節転移があるかどうかを診断し、切除する範囲の決定に役立てられます。このことから、患者さんの術中の負荷を軽減するための検査時間のさらなる短縮が望まれています。また、大腸がんや胃がん治療では、手術後の治療方針の決定で、患者さんから摘出する多数のリンパ節の転移有無の判定が必要となります。そのため、同時に測定できる検体数の増加が求められています。

 「遺伝子増幅検出装置 RD-200」と遺伝子増幅検出試薬「リノアンプ™CK19」は、病理組織学的検査と同等以上の検出精度を維持しつつ、現行のがんリンパ節転移検査システムと比較して、最大同時測定検体数を4から14検体に引き上げるとともに、測定時間を約34%短縮したそうです。同社は、「乳がん、大腸がん、胃がんのリンパ節転移検査のグローバルでの普及を促進し、検査の質の向上と標準化を目指す」としています。