ステージ4非小細胞肺がんに対する治験 イミフィンジ単剤療法とトレメリムマブ併用療法の全生存期間の延長は未達

文:がん+編集部

 ステージ4の非小細胞肺がんに対するデュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)の単剤療法とトレメリムマブを併用した治験の結果、全生存期間※1の延長が達成できませんでした。

化学療法との併用を含む臨床試験は継続

  英アストラゼネカ社は11月16日、ステージ4の非小細胞肺がんに対するMYSTIC試験の最終結果を発表しました。

 MYSTIC試験は、上皮成長因子受容体(EGFR)と未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)野生型で、進行性または転移性の非小細胞肺がんに対する治験です。PD-L1検査でがん細胞の25%以上にPD-L1が発現している患者集団に対して、デュルバルマブ単剤療法とデュルバルマブ+トレメリムマブ併用療法を標準化学療法と比較した第3相試験です。全生存期間を主要評価項目として評価しましたが、統計学的な有意差は未達で、全生存期間の延長を達成できなかったそうです。デュルバルマブ単剤療法とデュルバルマブ+トレメリムマブ併用療法の安全性と忍容性は、過去の試験と一貫していました。

 デュルバルマブは、抗PD-L1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。デュルバルマブは、切除不能なステージ3の非小細胞肺がんの治療薬として、日本を含む40か国で承認されています

 抗CTLA-4抗体であるトレメリムマブは、がん細胞を攻撃するT細胞の表面に発現するCTLA-4とT細胞を抑制するCD80/86が結合しないようにする薬です。これにより、T細胞は活性化したままがん細胞に誘導されます。また、がん細胞は過剰な免疫応答にブレーキをかける制御性T細胞を誘導し、攻撃を抑制しますが、制御性T細胞に発現しているCTLA-4と抗CTLA-4抗体が結合することで、この免疫抑制を解除します。デュルバルマブとトレメリムマブの併用療法は、非小細胞肺がん、尿路上皮がん頭頸部扁平上皮がん肝細胞がん血液がんなど臨床試験が検討されています。

 アストラゼネカのグローバル医薬品開発担当エグゼクティブバイスプレジデント兼チーフメディカルオフィサーであるSean Bohen氏は「ステージ4の非小細胞肺がん患者さんにおいて、イミフィンジ単剤療法の活性は抗PD-1クラスに沿ったものであることが確認できたものの、今回の結果では、統計学的有意差を達成できなかったことを大変残念に思います。しかしながら、イミフィンジは今後も当社のがん免疫治療プログラムにおける礎であり、当社は現在実施中のイミフィンジ単剤療法とイミフィンジおよびトレメリムマブの併用療法の化学療法との併用を含む非小細胞肺がんの試験において、引き続き評価を続けていきます」とコメントを発表しています。

MYSTIC試験

対象:進行または転移性非小細胞肺がん
条件:前治療がない、上皮成長因子受容体(EGFR)および未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)野生型
フェーズ:第3相試験
試験デザイン:無作為化、多施設共同
登録数:1118人
試験群:デュルバルマブ単剤療法
試験群:デュルバルマブ+トレメリムマブ併用療法
対照群:標準化学療法(パクリタキセル+カルボプラチン、ゲムシタビン+シスプラチン、ゲムシタビン+カルボプラチン、ペメトレキセド+シスプラチン、ペメトレキセド+カルボプラチン)
主要評価項目:無増悪生存期間※2、全生存期間
副次的評価項目:有効性(客観的奏効率と無増悪生存期間で評価)

※1:患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。
※2:奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。