「Nicotto」頭頸部がん患者さんへの支援、笑顔を忘れないための活動

清水敏明さん
頭頸部がん患者と家族の会Nicotto(ニコット) 会長 清水敏明さん

2018.10 取材・文 大場真代

 頭頸部がん患者と家族の会Nicotto(ニコット)は、2016年に発足した頭頸部がん患者さんとその家族を支援する患者会です。ご自身も頭頸部がんのひとつである舌がんを経験された会長の清水敏明さんに、活動に対する思いをうかがいました。

“ニコット”笑顔を忘れないでいよう、という思い

 私は、7年前の44歳のときに舌がんと診断されました。手術と放射線治療を行いましたが、翌年に再発。治療の後遺症により、うまく話すことができなくなり、食事も思うように取れなくなりました。また、当時の私は、仕事中心の生活を送っていました。仕事をするうえで、人前で話す、電話する、といったことが必須だったため、舌がんを経験したことで「もう仕事ができないのでは?」と絶望したこともありました。今では、会社の理解もあり、仕事内容を変更して、体調をみながら仕事をすることができています。

 精神的にも肉体的にも弱っていたとき、「リレー・フォー・ライフ」に参加する機会がありました。そこで、頭頸部がんの一種である鼻中隔がんの経験があるムーランさんに出会います。そして、関東を中心に、頭頸部がんの患者会の活動を始めることになりました。2015年に、九州にある頭頸部がんの患者会「えがおの会」の関東支部として活動を開始。7人で始めたメンバーは徐々に増え、軌道に乗ってきたため、翌年「ニコット」と名前を新たに再出発しました。

 ニコットという名前は、「えがおの会」の思いを引き継ぎ、「治療の後遺症によって、うまく表情を作れなくなったとしても、“ニコット”笑顔を忘れないでいよう」という思いを込めて名付けました。頭頸部がんは、治療により、話すことや食べることがうまくできなくなったり、外見が変わってしまったりなど、患者さんのQOLに大きな影響を与えます。治療の後遺症をきっかけに、人との付き合いを避けるようになったり、引きこもってしまったりする患者さんも少なくありません。だからこそ、同じ頭頸部がん患者と出会い、つながりを持つ場をつくることが、何よりも大切だと考えています。

「えがおのお茶会」を通じて、気持ちが前向きになる患者さんも

えがおのお茶会

 会の活動としては、「えがおのお茶会」という、頭頸部がん患者さんとその家族を中心としたお茶会を2か月に1度のペースで開催しています。治療を控えた患者さん、治療中の患者さん、治療を終えた患者さんなど、さまざまな状況の頭頸部がん患者さんが参加しており、それぞれの抱える思いを共有する場所になっています。

 例えば、患者さんのなかには、手術の痕が気になり人前に出るときはマスクが手放せない方もいます。そんな患者さんであっても、同じ頭頸部がん患者さんの集まりになると、マスクを外し、話し、食事も一緒にできるようになっていきます。このように、同じ頭頸部がん患者さんと触れ合うなかで、少しずつ前向きな気持ちを取り戻していく患者さんたちを多くみてきました。

 後遺症を抱えながら、すぐに社会復帰することは難しいかもしれません。しかし、まずは、頭頸部がん患者さんが集まる場で、気兼ねなく、社会復帰する準備をしてほしいと思っています。その他、リレー・フォー・ライフなど、さまざまなイベントに参加する機会もありますので、興味のある方は、ぜひニコットの活動に参加していただきたいです。

「誰かの支えになること」が生きる力に

 私自身、最初は「同じ頭頸部がん患者さんとつながりたい」という思いから、活動を始めました。それは、患者同士でつながることで、支えが欲しかったのかもしれません。でも、今は「誰かの支えになること」が私の生きる力になっています。ニコットの活動が、1人でも多くの頭頸部がん患者さんの生きる力につながることを願っています。

 そして、頭頸部がん患者さんには、まず、私たちニコットの存在を知ってほしいと思っています。何か辛いことがあったときは、同じ病気と闘う仲間がいるということを思い出してください。後遺症などに悩み、辛い思いをしている患者さんがいれば、ぜひ一度、連絡していただければと思います。私たちは、これからも、頭頸部がん患者さんやその家族へ、笑顔を忘れないための活動を行っていきます。

頭頸部がん患者と家族の会Nicotto(ニコット) 外部リンク

がん種 頭頸部がん
地域 関東
連絡先 Mail  nicotto0710@gmail.com
活動内容 ニコットは、頭頸部がん患者さんとその家族を支援する患者会です。「えがおのお茶会」など、さまざまなイベントを通じて、頭頸部がん患者さんのつながる場所を提供しています。