前立腺がんの基礎知識

 前立腺がんとは、どんな病気なのか。前立腺の役割から、初期症状、生存率など、治療を始める前に知っておきたい基礎知識を紹介します。

前立腺がんとは

 前立腺は、膀胱の下で尿道を取り囲むように存在する男性特有の臓器です。ちょうど栗の実のような形と大きさで2つあり、精液に含まれる前立腺液をつくっています。前立腺がんは、前立腺の細胞が正常な増殖機能を失って、無秩序に増殖することがきっかけで発生します。前立腺は、尿道のまわりにある内腺とその外側の外腺にわかれており、前立腺がんは、外腺に多く発生します。前立腺がんの転移はリンパ節や骨に多く見られますが、肺や肝臓にも転移することがあります。

前立腺がんの罹患率

 国立がん研究センターのがん統計によると2015年に前立腺がんと診断された人は7万9,631人で、10万人あたり約150人でした。60代から徐々に増えはじめ、70代後半をピークにその後は減少傾向にあります。男性では2015年に、胃がんを抜き第1位になりました。

前立腺がんの生存率

 国立がん研究センターの2019年のがん統計によると、前立腺がんの死亡率は10万人あたり20.8人でした。全国がん(成人病)センター協議会の生存率協同調査(2007~2009年初発治療症例)によると、前立腺がんの5年生存率は、ステージ1~3までは100%、ステージ4では63.7%でした。

前立腺がんの症状

 前立腺がんの多くは早期には自覚症状がありませんが、進行すると「尿がでにくい」「排尿回数が増える」などが起こり、さらに進行すると血尿や腰痛など、骨転移による痛みが起こることがあります。気になる症状があれば、早めに医療機関を受診して検査を受けることが大切です。

前立腺がんのリスク要因と予防

 前立腺がんのリスク要因となる可能性が考えられているのは、家族歴と高年齢です。喫煙や受動喫煙、飲酒、肥満などはデータ不十分とされていますが、日本人対象の科学的根拠に基づいた「日本人のためのがん予防法」では、禁煙、節度ある飲酒、バランスのいい食事、身体活動、適正体形、感染予防ががんの予防に効果的と示されています。

参考文献:日本泌尿器学会編.”前立腺癌診療ガイドライン2016年 “.メディカルレビュー社.2016.
国立がん研究センターがん情報サービス がん登録・統計
全国がん(成人病)センター協議会の生存率協同調査(2007~2009年初発治療症例)
国立がん研究センター社会と健康研究センター 日本人のためのがん予防法

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