初発治療
初発リンパ形質細胞性リンパ腫の治療選択
リンパ形質細胞性リンパ腫で症状がない場合は、無治療で経過観察となります。血球減少、全身症状(繰り返す発熱、寝汗、体重減少、全身倦怠感)、急性リンパ節の腫脹、肝脾腫などの症状がある場合は、治療が行われます。
症候性の過粘稠度(かねんちゅうど)症候群※を合併した場合は、血漿交換による治療が推奨されています。また、治療開始前の検査で、血清IgM値が4,000mg/dL以上の場合は、血漿交換を実施した後でリツキシマブ単剤、もしくはリツキシマブ併用の化学療法が行われます。
治療により完全奏効となった場合と部分奏効で症状がない場合は、経過観察となります。部分奏効で症状がある場合や奏効が得られなかった場合、また増悪した場合は、再燃・再発時の治療が行われます。
※血液の粘度が増すことで臓器に血流障害が生じ、出血傾向、凝固異常、精神神経症状(頭痛、やめまい)、眼圧変化、視力障害などの症状が起こる。
初発リンパ形質細胞性リンパ腫の治療
未治療の症候性リンパ形質細胞性リンパ腫の初回治療では、以下の治療が推奨されています。
単剤療法
・リツキシマブ
・チラブルチニブ
併用療法
・DRC療法(デキサメタゾン+リツキシマブ+シクロホスファミド)
・R-CHOP療法(リツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾロン)
・BR療法(ベンダムスチン+リツキシマブ)
・BDR療法(ボルテゾミブ+デキサメタゾン+リツキシマブ+)
・R+イブルチニブ(リツキシマブ+イブルチニブ)
上記の治療法の安全性や有効性の優劣に関しては、現時点では不明なため有害事象や治療期間、薬剤の投与法などを検討したうえで、患者さんごとに選択されます。
末梢神経障害が患者さんに対しては、ボルテゾミブやビンクリスチンは治療選択肢から除外されます。また、血清IgM値が4,000mg/dL以上の患者さんに対しては、リツキシマブ単剤、あるいはリツキシマブ併用療法を行う前に血漿交換が行われ、治療1コース目(状況によっては2コース目も)には、リツキシマブの投与を控えることが考慮されます。
症候性の過粘稠度症候群、クリオグロブリン血症、寒冷凝集素症の溶血発作が起こった場合は、速やかに血漿交換が行われます。
参考文献:一般社団法人日本血液学会編. 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版.金原出版