基礎知識

リンパ形質細胞性リンパ腫とは

 血液細胞は、元は「造血幹細胞」という1つの同じ細胞から作られ、骨髄系とリンパ系の2種類に分化します。骨髄系は赤血球、血小板、顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)、単球に分化し、リンパ系はB細胞、T細胞、NK細胞などのリンパ球に分化します。血液がんは、この血液細胞の分化と成熟の過程でがん化し、異常な細胞が増殖し発症する病気です。分化のどの過程で異常が起こるかで、血液がんの種類が異なります。

 リンパ形質細胞性リンパ腫は、リンパ球の一種である小型B細胞リンパ球、B細胞リンパ球が分化してできた形質細胞や形質細胞になりかけのB細胞リンパ球ががん化した悪性リンパ腫です。悪性リンパ腫のうち非ホジキンリンパ腫の1つで、低悪性度の成熟B細胞腫瘍に分類されます。

 リンパ形質細胞性リンパ腫で、髄浸潤とIgM型タンパク血症を伴うタイプをワンデンシュトレームマクログロブリン血症といい、リンパ形質細胞性リンパ腫の90~95%を占めます。

 リンパ形質細胞性リンパ腫の進行は、一般的に緩やで、生存期間の中央値は5~10年以上とされています。

リンパ形質細胞性リンパ腫の特徴と症状

 リンパ形質細胞性リンパ腫の約4分の1の患者さんは無症状ですが、骨髄への浸潤が大きい場合は、血球異常による貧血や血小板減少が認められることがあります。また、IgMタンパク質濃度が高くなると過粘稠度(かねんちゅうど)症候群をきたすことがあります。過粘稠度症候群では、血液の粘度が増すことで臓器に血流障害が生じ、出血傾向、凝固異常、精神神経症状(頭痛、やめまい)、眼圧変化、視力障害などの症状が起こります。

参考文献:一般社団法人日本血液学会編. 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版.金原出版

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