進行期治療

進行期節外性NK/T細胞リンパ腫の治療選択

 進行期(鼻腔周辺以外の限局期含む)の節外性NK/T細胞リンパ腫と診断された場合は、L-アスパラギナーゼを含む化学療法も治療選択として考慮され、そのうちSMILE療法2~6コースが最も推奨されています。

 完全奏効が認められた場合は、自家造血幹細胞移植併用大量化学療法、同種造血幹細胞移植、臨床試験、経過観察のいずれかが、患者さんの病態に応じて選択されます。

 部分奏効以下だった場合は、救援療法が行われます。年齢や全身状態に問題がなければ、地固め療法として自家造血幹細胞移植や同種造血幹細胞移植が推奨されています。

 自家造血幹細胞移植や同種造血幹細胞移植が適応とならない場合は、患者さんの病態に応じて、救援療法、緩和的化学療法・緩和的放射線治療、臨床試験、緩和ケアのいずれかが選択されます。

進行期節外性NK/T細胞リンパ腫の治療選択
進行期節外性NK/T細胞リンパ腫の治療選択
出典:一般社団法人日本血液学会編. 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版.金原出版 第II章 リンパ腫、II リンパ腫、8 節外性NK/T細胞リンパ腫 アルゴリズムより作成

進行期節外性NK/T細胞リンパ腫の治療

 SMILE療法は、多剤耐性に関わるP糖タンパク質の影響を受けない薬剤を主体とする化学療法で、デキサメタゾン+メトトレキサート+イホスファミド+L-アスパラギナーゼ+エトポシドが併用されます。

 年齢15~69歳、全身状態 0~2の初発ステージ4、初回治療後再発/治療抵抗性の患者さんを対象として行われた臨床試験では、既存の治療成績と比較して優れた完全奏効割合や1年生存率が認められました。

 自家造血幹細胞移植は、あらかじめ自分の骨髄や血液(末梢血)などから造血幹細胞を採取し、凍結保存しておいたものを移植する治療法です。通常、末梢血には造血幹細胞はほとんど存在しないため、「G-CSF製剤」という薬を注射して、骨髄から造血幹細胞を血中に出て来るよう誘発します。その後、採血した血液から造血幹細胞の分離が行われ、凍結保存されます。

 同種造血幹細胞移植は、白血球の型が一致したドナー(他人)から採取された正常な骨髄を患者さんに静脈から移入することで、血液の元となる骨髄細胞を正常なものに入れ替える治療法です。

参考文献:一般社団法人日本血液学会編. 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版.金原出版

最新のがん医療情報をお届けします。

無料で 会員登録
会員の方はこちら ログイン