転移性トリプルネガティブ乳がん一次治療の臨床試験で無増悪生存期間を有意に延長
2018/07/17
文:がん+編集部
転移性トリプルネガティブ乳がん患者さんの一次治療としての、免疫チェックポイント阻害薬のテセントリク併用療法に関する臨床試験で、無増悪生存期間(PFS)の有意な延長が示されました。適応の拡大が期待されます。
免疫チェックポイント阻害薬テセントリク併用療法
ロシュ社は7月2日、転移性トリプルネガティブ乳がん患者さんの一次治療としての、免疫チェックポイント阻害薬のアテゾリズマブ(製品名:テセントリク)とnab-パクリタキセル(製品名:アブラキサン)併用療法に関する第3相臨床試験のIMpassion130試験で、無増悪生存期間(PFS)※1の有意な延長が示されたことを発表しました。
IMpassion130試験は、転移性または切除不能な局所進行乳がんに対して全身薬物療法を受けていないトリプルネガティブ乳がん患者さん902名を対象に、一次治療における「アテゾリズマブとnab-パクリタキセル」の併用と「プラセボとnab-パクリタキセル」の併用を比較した第3相臨床試験です。
試験の結果、アテゾリズマブとnab-パクリタキセル併用療法で無増悪生存期間(PFS)の有意な延長が認められました。また、ITT解析※2集団と、PD-L1の発現がある転移性または切除不能な局所進行トリプルネガティブ乳がん患者さんの両集団で、病勢の進行または死亡リスクを低下させたそうです。全生存期間(OS)※3については、PD-L1の発現がある患者さんで改善の兆候が認められ、次回の解析まで試験を継続するとしています。
アテゾリズマブとnab-パクリタキセル併用療法の安全性は、これまでにそれぞれの薬剤で認められている安全性プロファイルと一致していて、新たな安全性のシグナルは確認されなかったそうです。
アテゾリズマブは、2018年1月に、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の適応で承認を取得し、4月に発売されました。3月には、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対する他の抗悪性腫瘍剤との併用(一次治療)」を予定とする適応症として、承認申請を行っています。
※1 奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※2 臨床試験の進行に伴い、治療が実施できなくなる患者さんや、治療を続けることができなくなる患者さんがいます。このように、臨床試験の治療ができなくなった患者さんも全て含めて解析することを指します。
※3 患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。