【コラム】世界中の乳がん専門医が集う「St. Gallen国際乳がん学会」

世界中の乳がん専門医が集い、初期の治療指針の合意を得る

 St. Gallen(ザンクトガレン)とは、スイスの風光明媚な街。2年にいちど、この街で乳がんの国際会議が開かれます。早期の乳がんの初期治療の指針を話し合う学会で、第一回は1978年に行われましたが、当時の参加者は100名に満たなかったといいます。現在では、5000名以上が集う大規模な学会になっています。何といっても、この会議の目玉は、最終日に行われるコンセンサス会議です。薬物療法や外科治療、放射線治療といった広範囲にわたって、多くの臨床医が診療上で遭遇する疑問点に対し、それぞれの分野のトップリーダーが意見を示し、参加者がその意見を認めるか認めないかの投票(voting)によって、合意を形成していこうというプログラムです。  このコンセンサス会議を経て、これまでもセンチネルリンパ節生検や術前化学療法の妥当性など、さまざまな指針が示されてきています。この会議での合意は、日本をはじめ、各国の乳がん治療のガイドラインに大きな影響を与えています。  このほか、乳がんの専門医が治療方針や、乳がん診療の最新の知見として参考にする国際学会として、毎年12月に開催され、90カ国以上から研究者や専門医が集まるサンアントニオ乳がんシンポジウム、乳がんだけでなく、すべてのがんについての専門家が参加するASCO(米国腫瘍学会)などがあります。  また、世界の主要な21のがんセンターによって、ガイドラインを策定するために結成された組織NCCNが発行している診療ガイドラインは、年に1回以上改訂され、世界中に広く普及し、利用されています。

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